2015年11月に引退したミスタープロレスこと天龍源一郎(73)が病床からの「完全復活」を宣言した。昨年9月から「環軸椎亜脱臼に伴う脊髄症・脊髄管狭窄症」のため入院中。当初は「突然死のリスクが高い」との診断を受けファンに衝撃を与えたが、昨年11月には首を固定する器具「ハローベスト」も取れ、現在は必死にリハビリに励んでいる。天龍は「必ずもう一度、リングの上に立ってファンにあいさつする」と力強く復活を誓った。

――首の固定器具も取れた。スッキリしたお顔を拝見できて安心しました

 天龍 フン。あのままの姿だったら「ロボ天龍」とか「メカ天龍」と書かれるからな。MRIを撮らなくてもお前の真っ黒な腹の中は見透かしているよ。

 ――…

 天龍 ハローベストを装着していた2か月間はとにかく大変だった。アメフトの防具を24時間着用しているようなものだから前方しか見れない。頭蓋骨に直接ボルトを入れて固定していたので、首が動かない。ゴミ箱にゴミも入れられない。競馬をやろうと思っても1枠から18枠まで全部見れないんだ。病院でただ天井を眺めている時期は本当につらかったね。

昨年11月までは固定器具「ハローベスト」を装着していた
昨年11月までは固定器具「ハローベスト」を装着していた

 ――命に別条はなくとも「突然死のリスク」という診断は衝撃的だった

 天龍 ショックだったよ。首の調子が悪いだけだと思っていたら、その診断だろ。ただ諦めるつもりはなかった。病院の主治医の先生やスタッフも本当に親身になってくれて、俺がいない間も頑張っている選手やスタッフ、会場に来てくれるファンのためにも「コンチクショー、くじけてたまるか!」と自分を奮い立たせていた。

 ――昨年6月24日に最愛の妻・まき代さん(享年65)を亡くしてからわずか2か月。心身ともにダメージは大きかったのでは

 天龍 そうだね。今まで頼りっ放しの罰が当たったのかなと思った。病室には女房の写真が飾ってあって話しかけているよ。女房との会話や旅行の思い出が支えになったし、それを思い出すことで勇気づけられた。今でも写真を見てると「めそめそするな! 早く治せ!」と励ましの声が聞こえてくるよ。

 ――器具も外れて元日には自宅に一時帰宅するまで回復した

 天龍 首の中にはボルトが入ったままだけど、器具が外れたことで開放的な気持ちになれて本当にスッキリしている。首も20度ほど動かせるようになった。これからはたまには外出許可も出そうだしね。実は数日前から二足歩行のリハビリも始めたんだ。あとはベッドから立って座るリハビリを繰り返したり…。とりあえず当面の目標は松葉づえをついて歩けるようになること。しかし現役時代は他人の顔面を蹴ったり殴ったりしていた俺が、こんな目に遭うとは皮肉なもんだねえ(笑い)。

昨年11月までは頭蓋骨にボルトを装着していた
昨年11月までは頭蓋骨にボルトを装着していた

 ――2月12日には「天龍祭~天龍源一郎AID」(新木場1stRING=1部12時30分、2部17時30分開始)の開催も決まった

 天龍 本当にありがたいことですよ。天龍プロジェクトはフリーや他団体から参戦してくれている選手が多いじゃない。その状況でもこうやって俺を励ます大会を開催してくれる。感謝のひと言に尽きるね。当日、俺は会場に行けないけど選手やスタッフ、ファンには心から感謝したい。いつか必ずリングの上に立つつもりだから、待っていてほしい。

 ――最終的な夢はやはりリングの上に立つまで回復することだと

 天龍 リハビリしながら本を読んで、その時のための名文句を探しているよ。いつになるか分からないが自分の足でロープをまたいで、リングに立ち、ファンの皆さんにあいさつして「エイエイオー!」と叫ぶ。それが今の俺の目標ですよ。
 ――力強い完全復活宣言だ。入院中に立て続けに届いた悲しい訃報を乗り越えただけに説得力がある

 天龍(親友の三遊亭)円楽師匠とアントニオ猪木さんが亡くなったことだね…。