女子プロレス「スターダム」のワールド王者・朱里(33)が、女子のリングで〝猪木イズム〟を体現する。舞華とのV9戦(3日、広島サンプラザホール)を制し、女子プロ界の「強さの象徴」としての地位を盤石に。プロレス、格闘技で結果を残し続ける赤の王者の原点は、10月1日に死去したプロレス界のスーパースター、アントニオ猪木さん(享年79)だ。

 赤の王者に〝闘魂〟が宿った。挑戦者の舞華はシングル最強を決めるリーグ戦「5★STAR GP」で屈辱の3カウントを奪われた相手。クールな表情でリングに向かいつつも、朱里の心はコスチュームと同じ真っ赤なリベンジの炎で燃えていた。

 序盤から激しく組み合い、両者一歩も譲らない攻防を展開。ジャンピングニーやハイキックをお見舞いするが、舞華の執念のスリーパーホールドで絞め上げられた。意識が遠のきそうになりながらも何とかロープにたどり着き、窮地を逃れる。

 その後もみちのくドライバーⅡを連発され苦しめられるが、残り時間5分のところで投げっぱなしジャーマン2発を敢行。さらにハイキックからの頭突きを浴びせ、肩車した状態から前方に落とす朱世界を炸裂。25分56秒の激闘を制した。

 これでV9。団体最高峰ベルトを巻く身として、強さを表現する朱里の真骨頂だった。原点は猪木さんの存在だ。「偉大な存在」と敬意を表し、「自分が真の強さを追求しているのは、どこかに猪木さんに影響を受けた部分があります。昔、異種格闘技戦をやられていたのが頭にありました」と明かす。

 動画で目にし、今でも鮮明に残っているのが、1977年8月2日に行われたキック王者ザ・モンスターマンとの伝説の一戦だ。猪木さんが経験した数々の異種格闘技戦の中で、自身のベストバウトとして挙げた試合として知られている。

 猪木さんとモンスターマンに影響を受けた朱里は立ち技格闘技「Krush」で女子王座を獲得。総合格闘技「UFC」の舞台にも挑んだ。

 その後「格闘技を経験した強さを証明したかったから」という理由でプロレスのリングに復帰した経緯があり「一番の強さの象徴は自分なんじゃないかという自信はある。今まで結果を出してきているし、朱里イコール強いっていうイメージもあると思う。なので猪木さんのストロングスタイルと通ずるものがあると思います」と胸を張る。

 試合後は林下詩美から次期挑戦を表明され、19日エディオンアリーナ大阪第1競技場大会でのV10戦が確実になった。

「真の強さを追求してきた点は、まさに猪木イズム。その思いを胸に今後、私は女子のリングで真の強さを体現していきます」。赤のベルトを腰に巻き過酷な防衛ロードを歩き続ける。