10月1日に死去した〝燃える闘魂〟アントニオ猪木さん(享年79)は、奇抜なアイデアの持ち主としても知られている。
 
 最たる例が異種格闘技戦。ボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリや柔道五輪2冠のウィリエム・ルスカとの一戦を実現させたが、はぐれ国際プロレス軍団との1対3ハンディ戦や上田馬之助との五寸釘デスマッチなど、「ストロングスタイル」とはかけ離れた試合形式でも戦った。

 そうしたアイデアはどうやって出てくるのか? 一端を明かしてくれたのは猪木さんの弟子、〝元暴走王〟小川直也氏(54)だ。柔道の世界王者は1997年2月にプロに転向。猪木軍の門下生となり、みっちり鍛えられた。

 そうした過程で暴走王唯一の必殺技「STO」が生まれることになるが、技の名前も猪木さんがつけたものだという。

「マスコミのみなさんとの懇談会で、会長(猪木さん)から『小川の必殺技に名前を募集したい』という話になった。オレの売り出しに必死になってもらってうれしかったけど、記者さんたちとまた集まった時に、会長が酔っ払って『こうじゃないんだよな』と言われて…。記者さんに名前を考えてきて~と言っといた割には、実は自分で考えていたんだよね」(小川氏)

 それで猪木さんは変型大外刈りを「STO」とネーミング。どういった意味が込められているのか? 猪木さんの説明では「小川は宇宙なんだ。地球規模じゃダメなんだ」と言い、「Space(スペース)」の頭文字「S」が決定。続けて「宇宙規模で竜巻を起こさないといけない」と「Trnade(トルネード)」の「T」も決まったという。

「で、会長に『Oは大外刈りですか?』と聞いたら、『いや、オガワのOだ』って…。何ですか~って、ズッコけたよ」と小川氏は笑いながら振り返りつつ「スペース・トルネード・オガワ、略してSTO。自分の長所の柔道技、大外刈りをプロレス流に猪木さんがプロデュースしてくれたから、その後につながったんだよな」と師匠への感謝を口にする。猪木さんのアイデアは、決して酔っ払っての思いつきではない…ということだ。