新日本プロレスで活躍する人気レスラーの本間朋晃(49)が、8月2日に福岡国際センターで行われる“真夏の最強戦士決定戦”「G1クライマックス36」を前に、現役引退を決意した胸中を明かした。古傷の首の悪化により来年夏の引退試合を最後にリングを去ることを表明。奇跡の復活を遂げた大けが、盟友・真壁刀義との絆、G1への思い、そして最後に披露する「最高のこけし」への覚悟を語った。
――7月4日の故郷・山形大会で引退を発表した際、リングから見えた景色は
本間 景色は本当にびっくりした。あんなに皆が驚くとは思っていなかったし、「マジか!」とか「えーっ!」という声が会場中から聞こえてきた。皆さんを驚かせてしまったという意味では申し訳なかったけど、生まれ故郷の山形で発表できたのは良かった。
――引退を決断した最大の理由は
本間 今の首の状態は、プロレスができるかもしれないし、できないかもしれないという中途半端な状態。昔の脊髄損傷の影響に加えて「脊椎靱帯骨化症」で首の柔軟性がなくなってしまった。高角度の投げ技をまともに受けると、衝撃がダイレクトに脊髄へ伝わってしまう。そんな状態でリングに上がるのはプロレスに対して失礼だし「もう潮時かな」と思った。
――引退の背中を押した存在は
本間 やっぱり妻(千恵さん)の言葉が大きかった。「もういいんじゃない? いっぱい頑張ったんだから。これからの人生も長いんだから、自分の足でリングを降りられるうちに辞めた方がいいよ」と言ってくれた。
――プロレスは自身にとってどんな世界だった
本間 楽しさしかない世界だった。リングの上で歓声をもらえる、こんな幸せな場所はない。プロレスは一生の中で出会えて良かった存在。仕事だと思ったことは一度もない。
――高校時代に入門したアニマル浜口ジムでの日々を振り返ると
本間 浜口さんは本当に優しい人だった。まだ何者でもなかった僕にも「頑張れよ」と声を掛け続けてくれた。当時はまだ普通の声だったので「もっと声を出せ!」とよく怒られていた(笑い)。
――浜口ジム時代に一番苦しかったことは
本間 朝から夕方までガソリンスタンドでアルバイトをして、そのまま夜遅くまでジムで練習する毎日だった。本当にお金がなくて、朝は吉野家の朝定食、昼は安売り弁当、夜は売れ残りのおかず一品とご飯3合で腹を満たしていた。
――長年タッグを組み、ともにIWGPタッグ王座も獲得した真壁刀義とはどんな存在か
本間 本当のお兄ちゃんみたいな存在。G・B・H時代、ヒールなのに僕がベビーのような「いい人」でいようとしていた時に「そんな中途半端な気持ちならプロレス辞めちまえ」と本気で怒られた。「嫌われるなら徹底的に嫌われろ!」と言われて目が覚めた。あの言葉がなかったら今の僕はいない。
――2015年のG1で石井智宏から挙げた初勝利はどんな意味を持つ
本間 17連敗というワースト記録を作ってしまった中で「絶対に勝つ」という覚悟で臨んだ試合だった。石井さんはインディーからはい上がった憧れの先輩。その石井さんから3カウントを奪った瞬間は、天にも昇るような気持ちだった。
――本間朋晃にとってG1とは
本間 僕は第1回大会から見ているけど、全てのプロレスラーにとって憧れの舞台。前座のタッグマッチに出るだけでも独特の緊張感がある。
――今年のG1クライマックス36をどう見ている
本間 若い選手が増えたけど、世界最高峰のリーグ戦という価値は全く変わらない。誰が新日本で一番強いのかを決める熱い戦いになると思う。本当に誰が優勝してもおかしくない。
――辻陽太を頂点とする現在の新日本プロレスをどう見ている
本間 今はまさに戦国時代。辻がチャンピオンだけど、きっかけ一つで勢力図がどう変わるか分からない。
――トレードマークでもあるしゃがれ声は、どのようにして生まれた
本間 2005年ごろ、試合中に喉へもろにラリアットを一発もらって、一瞬でこの声になった。それまでは普通の高い声だった。最初は全く声が出なくなっていて「一晩寝れば治るだろう」と思ったけど、翌朝起きたらこのガラガラ声になっていた。それから20年以上ずっとこのままだよ。
――この声で困ったことは
本間 いっぱいある(笑い)。親に電話しても「何言ってるか分からないから帰ってきた時に話して」と切られるし、飲食店では注文がなかなか伝わらない。塩ラーメンを頼んだのにしょうゆラーメンが出てきたり、カツ丼を頼んだのに天丼が出てきたり(笑い)。でも、僕はせっかちだから「もうこれでいいよ」ってそのまま食べちゃう。
――それでも今はこの声をどう感じている
本間 もし普通の声のままだったら僕は30年もプロレスを続けられていなかったと思う。でも、この声があったから覚えてもらえたし、応援してもらえた。今ではこの声が大好きだし、僕にとって最高の武器だった。
――来年の引退試合に懸ける思いは
本間 2018年の復帰戦は少し涙ぐむくらいで終わった。でも今回は最初から泣かないではいられない自信がない。キャリア30周年の集大成なので、ファンの皆さんに心配されないコンディションをしっかり作って笑顔でリングを降りたい。
――最後にファンへ
本間 ファンの皆さんの応援があったからこそ、30年間プロレスを続けることができた。来年の山形での引退試合がレスラーとして本当に最後の1試合になる。九州からは少し遠いけど、ぜひ最後の生きざまを見届けてほしい。最後は最高の「こけし」を決めて終わりたい。「こけし・イズ・ハッピー!」で、みんなで幸せになりましょう。30年間、本当にありがとう!














