【赤坂英一 赤ペン!!】カープの坂倉将吾(24)が活躍するたび、もっと人気があってもいいのになと思う。たぶん、同じ印象を抱いているファンは少なくないだろう。
今季の坂倉は、コロナ禍の現在にあってチームでただ1人、137試合すべてに出場。打率2割8分5厘もチームトップで、安打数(147)ではヤクルト・村上や阪神・近本らとリーグ1位を争っている。しかも捕手登録でありながら、もっぱら三塁で先発し、一塁も守る実にマルチなスーパープレーヤーなのだ。
それでいて、モットーは「個人成績よりチームの勝利優先」。他の選手が本塁打や適時打を打つと、すぐさまベンチから飛び出し、誰よりも派手にバンザイを繰り返して喜びを表現する。そんな姿について、地元テレビ局に聞かれると「誰が活躍しようが、活躍できなかろうが、勝てばうれしいので」と照れくさそうに答えていたものだ。
坂倉は2016年秋のドラフト4位で日大三高から広島に入団。当時、球団の大野寮で坂倉たち新人を迎えたのは、16年から二軍監督に就任した水本勝己(現オリックスヘッドコーチ)だった。
水本は二軍の休養日、寮に隣接した室内練習場に腰を据えて、よく若手の練習を視察していた。「そこで坂倉の姿が目に留まった」とこんな話をしてくれたことがある。
「あのころの若手で一番熱心に練習をしていたのが坂倉ですよ。われわれ(首脳陣)に何か言われなくても、自分から1人で練習にやってくる」
水本は1990年から捕手として広島入りし、裏方や指導者として20年までさまざまな選手を見てきた。そういう人物が「あの熱心さは現役時代の前田智徳に匹敵する」とまで言ったのである。
当時、広島打撃コーチだった石井琢朗(現DeNA野手総合コーチ)も、坂倉の持つポテンシャルを評価していた。カープで指導した選手の中で「最もセンスを感じたのが坂倉」だったという。
それほどの逸材だけに頭角を現すのも非常に早かった。ルーキーイヤーの17年、私自身も球場で取材していたDeNA戦で延長10回に2点タイムリー。これがプロ初安打、初打点となった。
ちなみに、最近1年目で一軍公式戦出場を果たした広島の高卒新人野手は、13年の鈴木誠也、99年の東出輝裕、90年の前田智徳とそうそうたる顔ぶれ。だからこそ、そんな先輩並みの人気選手になってほしいと思う。
☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。












