第104回全国高校野球選手権大会の決勝戦が22日に甲子園球場で行われ、仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を8―1で下して深紅の優勝旗を手中にした。

 東北勢の悲願だった〝白河の関越え〟を成し遂げた。マウンド上の高橋(2年)が最後の打者を三ゴロに仕留めると、ナインがマウンドに集結して空に人さし指を突き上げ、ベンチでは須江航監督(39)が目頭を抑えた。一塁側アルプス席の前で選手に胴上げされ、4度宙に舞った須江監督はマイクを握ると「宮城のみなさん、東北のみなさん、おめでとうございます。100年開かなかった扉が開いた」と声を震わせた。

「僕らの快挙じゃなく、100年の間、甲子園にたどり着いたすべての指導者の情熱のたまもの。東北6県すべての勝利。いろんな監督の顔が浮かび、みなさんのおかげ。東北の希望になれたら、と思います」

 4―1で迎えた7回には大病を克服した「不屈の男」が魂の一撃を放つ。一死満塁から5番・岩崎生弥(3年)が左翼席に大会28号となるグランドスラム。県大会を通じてチーム初となる本塁打で一挙5点を追加して試合を決めた。

 昨年6月に運動性ぜんそく、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニアを患ってチームを離脱。療養しながら練習を続けた。仲間のサポートもあって全体練習に復帰したのは今年6月。代打を目指して練習を重ね、直前でメンバーを入りを果たし、大舞台で輝いた。

 打席に入る前、須江監督から「ここはスクイズじゃない。自信を持って振りぬくところだ」と言われ、ストレートを叩いた。須江監督とベンチ前でハグを交わした岩崎は「あきらめずに目標を立ててやってきた。自分はずっとアルプスにいたので、アルプスの気持ちもわかる。応援がないと1本出なかった。監督には病気の時も『やり方はいくらでもある』と言ってもらって野球に向き合えた。うれしかった」と感謝を口にした。

 投げては先発・斉藤蓉(3年)が7回を3安打1失点、最後は高橋が締め、全5試合すべてを継投勝利。夢の扉を開けた指揮官は「これからいろんな学校がなだれ込んで来ますよ。今年のウチは練習試合でも負け続けてきたので、そういう意味では希望になっていると思います」。

 仙台育英の快挙を機に、東北勢が高校球界をリードしていく。