【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】12年前が懐かしい。2010年ドラフトでオリックスから1巡目指名。NPB史上初、3度の抽選漏れを受けての「外れ外れ外れ1位」だったのが中日・後藤駿太外野手(29)だ。
7月にオリックスからトレードで中日へ移籍。8月14日の阪神戦では、移籍後初打点となる2点適時二塁打を記録するなど、チームの3連勝に貢献した。
かつての本拠地であった京セラドームで、中日のユニホームでのヒーローインタビュー。こんな日が来るとは12年前の本人も想像していなかっただろう。
プロ入り後の後藤への期待は大きかった。1年目の11年から、いきなり開幕スタメンデビュー。これは高卒新人野手としては、張本勲(東映)以来52年ぶりの快挙だった。
4年目の14年は127試合に出場し打率2割8分。同年のCSファーストステージでは先頭打者本塁打を記録するなど、時代の流れがきたかと思われた。
この時期の“駿太”への取材で印象に残った場面がある。髪形を七三分けにしっかりセット。サッカー界の超スーパースターのようないでたちにツッコミを入れると、こんなリアクションが返ってきた。
「クリスチアーノ・ロナウドに寄せてるんですよ。カッコイイですもんね。自分はまだまだですけど、クリロナみたいにプレーはもちろん、ファッションや発言でも話題となれるような選手になりたいんです」
ルックスもプレースタイルもかっこいい。駿太なら大丈夫。そう思ってはいた。だが、プロは甘くない。持ち味の「鬼肩」は健在だが、打撃で伸び悩んだ。
18年から出場試合数も減少していた。昨年にはFA権を取得するも悩んだ末に残留。オフにはチームメートだったラオウ杉本とともに、根鈴雄次氏のスイング理論を学ぶなど進化を模索した。オープン戦では10試合で23打数10安打、打率4割3分5厘と結果を残したが、シーズンでは思うようにはいかなかった。
様々な経緯を経てのトレードだった。出場機会を求める自身の希望もオリックス側が聞き入れてくれた。望んだ形での新天地への移籍となった。
来年3月には30歳を迎える。期待されながら伸び悩んだ20代を経て、折り返しのプロ野球生活ではどんな変貌を遂げるのか。これからの“駿太”の活躍も見守り続けたい。
☆ようじ・ひでき 1973年生まれ。神戸市出身。関西学院大卒。98年から「デイリースポーツ」で巨人、ヤクルト、西武、近鉄、阪神、オリックスと番記者を歴任。2013年からフリー。著書は「阪神タイガースのすべらない話」(フォレスト出版)。21年4月にユーチューブ「楊枝秀基のYO―チャンネル!」を開設。












