中日・大野雄大投手(31)が7日の巨人戦(ナゴヤドーム)に先発し、9回5安打1失点。プロ入り初となる2試合連続完投勝利で、今季2勝目をマークした。自ら先制&決勝打も放ち、チームの連敗を3で止める大車輪の活躍を見せつけたが、ここにきて球団内では不安な声も出ている。2年前にも苦汁を飲まされた〝あの球団〟にまたしても〝トラ〟れるのではないかというのだが――。
これぞエースの働きだ。大野雄は3回までパーフェクト投球で、4回こそ先頭の北村に2号ソロを浴びたが、許した得点はこの1点のみ。そのまま最後の9回までG打線の前に仁王立ちした。これで前回7月31日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)に続き、球団では2012年8月の吉見以来、8年ぶりとなる2試合連続完投勝利をもぎ取った。
「やっぱり前回完投して、次の試合がすごく大事やと思っていたし、その中で何とか最後まで投げ切ることができてうれしいですね」と満面の笑みを浮かべた。
打席でも気迫を前面に出し、ここまで貧打が深刻だった野手陣に〝喝〟を入れた。2回二死一、二塁の打席で中前適時打を放ち、京田、大島の連続三塁打を呼び込み、この回一挙4点のビッグイニングとなった。
「何とか食らいついて行こうと。スライダーを狙っていたけど、ストレートに行っちゃった」とニヤリ。与田監督も「素晴らしいゲーム運び。最後まで良く投げてくれた。8回に確認したら『行きます』と。勝てないときでも頼もしく見ていた」と最敬礼だ。
そんな大野雄は前回7月31日の登板で初勝利を挙げた日に、国内FA権を取得。「先のことはまだ考えていないです。とにかくシーズンに集中したいと思います」と述べるにとどめたが、昨オフの契約更改交渉で球団の複数年契約の提示を固辞し、単年契約を結んでいる。
大野雄が単年で勝負したいと訴えたためだが、球団内では「大野は中日に残る選択肢もあるとは思うけど、当然、他球団の話を聞いてみたいという気持ちもあるだろう。でも条件面でのマネー勝負となるとガルシアに続いて阪神が狙ってくる可能性が高い。なんと言っても大野はリーグでも屈指の阪神キラーだからね」と心配している。
7日現在、大野雄の通算成績は60勝64敗で4つ負け越しているが、こと対阪神になると12勝5敗と無類のトラキラーぶりを発揮している。来日1年目の2018年に中日で13勝9敗をマークし、そのうち阪神に3勝2敗と勝ち越していたガルシアが翌年に阪神に〝強奪〟されたこともあり、球団内では今オフの阪神の動きも警戒しているのだ。
ある球団関係者は「これだけの阪神キラーぶりを発揮している大野を阪神は何としてもほしいはず。大野自身も関西出身で子供のころは阪神ファンだっただけに相思相愛でウチから出て行ってしまうかもしれない。ガルシアに続いて大野まで阪神に獲られてしまったら大きな痛手だよ。これから阪神に限らず、どのチームにでも勝てば勝つほどウチでは手の出せない条件にどんどんつり上がってしまったら太刀打ちできないよ」と頭を抱えている。
今季ここまでチームで先発ローテを唯一、守っている大野雄だけに、来年に投手陣の大黒柱を失えば、中日のダメージははかりしれないものになりそうだ。