【後楽園ホール「還暦祭」カウントダウン連載(5)】新日本プロレスの棚橋弘至(45)が、東京・後楽園ホールが60周年を記念して初開催するプロレス興行「還暦祭」(15、16日)へ秘める思いを明かした。

 メモリアル興行2日目となる16日大会は、新日本と全日本プロレスの選手が出場するドリームマッチが実現。棚橋はメインで全日本の3冠ヘビー級王者・宮原健斗と組み、タイチ、ジェイク・リー組と対戦する。

 宮原とは2019年2月の「ジャイアント馬場没20年追善興行」でタッグマッチで激突した。今回は初のタッグ結成となる。「頼もしいです。宮原選手は試合を盛り上げようとする気持ちがあるんですよね。俺がどんだけ盛り上げようとしても空回りしてた時代もあるんですけど、空回るなら2人の方が心強いなと」と冗談めかしたが、自身へのリスペクトを公言する宮原にはシンパシーを感じている。

 数年前に大阪の焼き肉店で食事をともにしたこともある。「どうやってプロレスを盛り上げていくか」という話題で盛り上がった。「忠実に僕のアドバイスを聞いてくれた部分もあって、(全日本で)一人気を吐いている印象だったので。こうして紆余曲折を経てタッグを組む流れになるんだから、面白いなって思いますね」と再会に胸を躍らせる。

 後楽園ホールは1999年10月10日の真壁伸也(現刀義)戦でデビューを飾った特別な地だ。「体力には自信があったんですけど、あっという間に息が上がって『ああ、これがプロの洗礼か』って思ったことを覚えてますよ。両親や大学の友達も見に来てくれて、北側の観客席で応援してくれてましたね。あの試合は体パンパンだったんですよ、脚も胸も肩も背中も。『すごい新人が出てきただろう』って自分で思ってました。あんまり話題にならなかったけど…」

 本人は謙遜するが、この試合を見て棚橋に憧れたのが、当時後楽園ホールにファンとして観戦に訪れていた内藤哲也だ。レスラーを志していた内藤にとって転機の一つとなった試合といっていい。

 棚橋は「いろんな選手がここでデビューしたり引退されたり、事件が起きたり、タイトルマッチ、盛り上がる試合があったり…そういう歴史の積み重ねが〝聖地〟と言われるゆえんなんじゃないですかね」と感慨深げな表情を浮かべた。

「新日本プロレスも全日本プロレスも50年で、後楽園ホールも60年。キリがいいですよね。何か次につながる試合がしたいなと思います。責任感が大きい仕事のほうがやりがいがありますし」。聖地の節目を祝う歴史的興行を締めくくるのは、プロレス界のエースをおいて他にはいない。(おわり)