プロ野球で来季から、守備側の監督が敬遠する意思を球審に伝えれば投球せずに四球となるルールが導入されることになった。来年1月のプロ、アマ合同の規則委員会で正式に決まる。米大リーグでは試合時間短縮を目的に今季から実施されており、1年遅れで日本球界も歩調を合わせることになった。日本プロ野球選手会関係者によると、選手側には大きな異論はないという。
ただ、今回の新ルール導入をすべての人がもろ手を挙げて歓迎しているわけではない。1990年6月2日の巨人―広島戦(東京ドーム)で、1―1の9回二死二塁から巨人のクロマティに敬遠球を右越えに運ばれてサヨナラ負けした元広島投手の金石昭人氏は「時代の流れだから仕方ない」と前置きしつつ複雑な思いを打ち明ける。
「テレビのニュース番組で、僕がクロマティに打たれたシーンが繰り返し流されていますが、実際に投げているからドラマも起こりうる。投手はただ投げているわけではなく、あの4球の間に次の打者とどう対戦するか考えるし、目の前で敬遠を見せつけられた次打者は『なにくそ』と闘志を燃やす。相撲で立ち合いまでに何度も塩をまいたり、にらみ合ったりしながら気合を入れていくのと一緒です。そういう腹の探り合いや駆け引きがなくなってしまうのは寂しいですよね」
さらに金石氏は、今回の新ルール導入が投手にとって有利に働くのではないかと見ている。「投手によっては、イップスで緩い球を投げることが苦手な人もいる。走者を三塁に置いた場面では暴投が失点につながってしまうし、敬遠でも結構プレッシャーがかかるんです」。投手がそうした重圧から解放されるのに対して、打者は前の打者の敬遠後に怒りの炎を燃やす間もなく打席に入らなければならないのだから、メンタル面のコントロールは少し難しくなるかもしれない。
99年6月12日の阪神―巨人戦(甲子園)で、阪神・新庄が4―4の延長12回一死一、三塁から巨人・槙原の敬遠球を左前にはじき返したシーンは今でも語り草となっている。そんな予想外のドラマがなくなるかと思うと、確かに寂しい。












