シアトルの熱狂が止まらない。マリナーズの新星ハリー・フォード捕手(22)が、またしてもチームを勝利に導いた。11日(日本時間12日)の本拠地エンゼルス戦で12回裏に代打で登場し、右翼へ決勝犠飛。7―6の劇的勝利で破竹の6連勝を飾り、宿敵アストロズとア・リーグ西地区首位に並んだ。メジャー公式サイト「MLB・com」や米スポーツ専門局「ESPN」など米主要メディアも、マリナーズの快進撃を大々的に報じている。

 チームは前夜10日(同11日)の本拠地カージナルス戦でも延長13回にレオナルド・リバス内野手(27)がサヨナラ2ランを放ち、劇的勝利を飾っていた。12イニング以上の試合を2夜連続でサヨナラ勝ちしたのは、球団史上初の快挙だ。

 球団プロスペクトランキング4位、MLB全体でも39位に評価されるフォードは、今季9月に昇格したばかりのルーキー。トリプルAでは打率2割8分、16本塁打、OPS.868と結果を残し、将来の正捕手候補として大きな期待を背負う。チャンスは限られていたが、この日の試合で存在感を一気に示した。

 試合後、フォードは「とにかく右方向に打球を上げることだけを考えた」と冷静に振り返る。まだメジャー初安打はお預けだが、すでにクラブハウスの信頼は厚く、カル・ローリー(28)ら先輩捕手からも日々学んでいる。

 マリナーズは同日現在79勝68敗。24年ぶりの地区優勝、3年ぶりのポストシーズン進出、さらには球団史上未踏のワールドシリーズ制覇へ向け、佳境の戦いを続けている。8月期限以降、Tモバイル・パークでは20試合中17勝と驚異的な勝率を誇り、チーム全体が一体感を高めている。

 忘れてはならないのが、クラブを陰で支える「背番号51」の存在だ。マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)は、練習から若手に目を光らせ、常にチームに「勝ち続けるマインド」を注入している。フォードのような新鋭が伸び伸びと結果を出せる環境の背景には、このレジェンドの存在があるのは間違いない。

 シーズン残り15試合。地区首位の座をつかみ取り、シアトルに新たな歴史を刻めるか。22歳の「救世主」が描く物語が今季最終盤において、本格的に始まろうとしている。