阪神は27日のDeNA戦(横浜)に2―1で競り勝ち、引き分けを挟んで4連勝。2位・巨人も敗れたため優勝へのマジックは「12」まで減った。直近11カード連続で負け越しなしと、圧倒的な強さを見せつける真夏の虎は、2年ぶりのリーグ制覇へ本格的な秒読み態勢に突入した。

 この日の先発は育成3位ルーキーの早川太貴投手(25)。安定した制球力と多彩な変化球を武器にゾーン内で積極的な勝負を仕掛け、ベイ打線を5回2安打無失点に封じると、打線の援護にも恵まれプロ初白星をゲットした。藤川球児監督(45)も「良かったですね。強い気持ちで最後まで攻めてくれた」と起用に応えたニューカマー右腕を惜しみなく称賛した。

 2位以下のチームとのゲーム差が大きく開いた夏場以降、藤川監督はこの日のように一軍経験が乏しい若手期待株の選手たちを積極的に起用している。今月19日の中日戦(京セラ)では、指揮官就任直後から天性の打撃センスに期待をかけてきた高卒3年目の新鋭・井坪を一軍に初昇格させ「8番・中堅」で即スタメンに抜てき。貴重な一軍経験を積ませるとともに、チーム不動のリードオフマン・近本に休養を与える〝一石二鳥〟の妙策でもあった。

 球団関係者は「藤川監督が今、重要な課題として捉えているのはチームの2年後、3年後のあり方」と語る。直近10年のドラフト戦略が大成功した猛虎は、今がまさに黄金時代のど真ん中。だが、今月には今季で入団7年目となる近本が国内FA権を取得した。才木、佐藤輝ら投打の主軸もポスティングシステムを活用した早期米球界挑戦を球団サイドに直訴するなど、編成面では予断を許さない状況が続く。

 2004年から11年にかけて4度のリーグ制覇と1度の日本一に輝いた落合中日や、16~18年にかけてセ3連覇を達成した緒方広島などはその後、主力選手の高齢化、他球団流出、新陳代謝の失敗などに悩まされ長期の低迷を余儀なくされた。

 実りの秋来たりなば、厳しき冬も遠からじ――。チーム状態に余裕があるうちに、未来への土づくりと種まきも忘れない若き虎将の周到さが垣間見えた一日となった。