ノアの天才・丸藤正道(40)が、マット界のピンチを救う。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため大会を中止にしていたノアは、前橋大会(21日)から興行を再開。約4週間も大会の自粛が続いただけに「みんな心にたまっていたものがあると思う。それでも当初よりはウイルスに対する知識や予防方法が日本全体に浸透してきた。業界最大のピンチだと思うし、プロレスラーができることは何なのかと考えた場合、答えは一つしかなかった」と語った。

 ノアだけではなく、丸藤とGHCタッグ王座を保持する望月成晃(50)の所属先、ドラゴンゲートも大会の中止が続き、22日神戸大会も直前になって無観客試合に変更されるなど混乱は続く。それだけに丸藤は慎重に言葉を選びながら「毎日、亡くなっている方がいる事実だけは頭に置きながら、ファンの方々を勇気づけることができれば。家にこもっているだけが対策ではないと思います」と話した。

 5日にドラゲーマットで予定されていた同王座の初防衛戦も延期になった。望月とのコンビで「グローバルタッグリーグ」(4月4日、大阪で開幕)にも出陣するが「いつでも向こうで防衛戦ができる態勢を整えている。なので優勝は責務と自覚している。プロレスの力でマイナスを一気にプラスに転じさせるしかない」と決意を込めた。

 富士大会(22日)では、29日の後楽園ホール大会でGHCナショナル王者の杉浦貴(49)に挑戦する田中稔(47)とコンビを結成し、GHCヘビー級王者の潮﨑豪(38)、中嶋勝彦(32)組と激突。丸藤は潮﨑に虎王(二段式ヒザ蹴り)を決めるなど気を吐いた。「お客さんのパワーをひしひしと感じた」。天才は大きな使命を背負い、戦いのリングに立ち続ける。