侍ジャパンが早くも難題に直面している。日本シリーズ閉幕から一夜明けた24日、稲葉篤紀監督(47)がエース候補と期待していたソフトバンク・千賀滉大投手(26)が右肩違和感のため、代表入りを辞退した。楽天・松井、森原に続く3人目の“ドタキャン”に代替選手の急な選考を迫られた侍首脳陣は混乱。こうも辞退者が相次ぐ背景にはどんな事情があるのか――。
練り上げた構想が崩れていく。来月2日に開幕する国際大会「プレミア12」の初制覇を目指して宮崎で合宿をスタートした侍ジャパンだが、ここにきて投手に辞退者が続出。稲葉監督ら首脳陣は代替選手の人選に追われ、予定していた起用法の大幅変更を迫られる事態となっている。
千賀は言うまでもなく侍のエース候補。松井、森原も救援陣の主力と期待されていただけにショックは大きい。首脳陣は急きょ山崎(DeNA)を抑えに固定し、山本(オリックス)をセットアッパー起用する新方針を打ち出した。一方、代替選手の人選は難航。日本シリーズは終わったばかりだが、レギュラーシーズン終了からは約1か月たってしまっている。
「正直、休んでいる投手もたくさんいますのでね。そこからまた肩をつくって…というのはなかなか難しい部分もある。そういうところも考えながら、どこが足りないか、どういう投手が必要かを含めて検討していきます」。合宿前日の21日、楽天・松井、森原の辞退を受けた稲葉監督はこう苦しい胸の内を明かしていた。
指揮官の言葉をかみ砕けば「ポストシーズン不出場の球団からは選びにくい」ということ。代替選手として発表された巨人・大竹、ソフトバンクのルーキー・甲斐野、左腕・嘉弥真は直前まで投げていたから。建山投手コーチは今後の投手起用について「実績や名前で決め付けず、状態を見極めていきたい」と語ったが、表情は曇り空だ。
今回のプレミア12に向けて最終的に選ばれたのは28人。それ以前に60人の事前登録選手がいた。本来なら選考から漏れた選手たちにも「万が一に備えて体を動かし続けていてくれ」と伝えていればよかったかもしれないが、これが今の球界ではなかなか難しい。
稲葉監督がいくら「プレミア12で世界一を!」と叫んでも、一部球団や選手間には「今回の大会は五輪出場権がかかっているわけでもない。シーズンが終わったばかりなのに駆り出されるのは…」という冷めた視点がある。日本球界の場合、伝統的に代表より12球団の立場が強いため、侍首脳陣も強くは出られないのだ。
今回のプレミア12の先には東京五輪がある。来春は侍ジャパンとしての試合が組まれていないため、今大会は大目標の金メダルへ向けた最後の実戦機会。当初、稲葉監督は「五輪の土台となるチームを作る」と意気込んでいた。ただ現実を見渡す限り“土台”というには心もとない。侍内部からも「今回は正直、“侍クラス”とは言えない選手も交ざっている。プレミアと五輪は切り離してメンバーを再考せざるを得ないのでは」との声が聞こえている。
25日は日本ハムと今合宿初めての練習試合(サンマリンスタジアム宮崎)に臨む。岸(楽天)を先発に立て、山本―山崎の新必勝リレーが披露される見込みとなっているが…。出航した途端、荒波にもまれている侍ジャパン。これ以上の“万が一”が起きないことを祈るばかりだ。












