その背景には何が――。首位ソフトバンクは13日の西武戦(ペイペイ)に9―0と大勝。優勝を争うライバルとの「天王山」に連勝して首位固めに入った。
勝利の立役者はかつての守護神だった。先発・奥村の後を受けて、4回から2番手でマウンドに上がった通算127セーブを誇る森唯斗投手(30)。3回1安打無失点の好投で今季2勝目を手にして、華麗なる転身への前兆を見せた。
この日の試合前、藤本監督はかねてチーム内で温められていたプランを披露。来季以降の「森の先発転向」だった。今季は4月に不振で二軍再調整となり、7月に一軍に帰還するも「抑え」にはモイネロが君臨。現状は「ブルペンの一人」としてチームを支えている。
転向案は指揮官が森との面談で直接提案。「本人がやる気を見せてくれた」と意思を確認し、大きく前進した。本格的には来季以降の話だが、現状も11連戦中で先発のコマが足りない状況。「オープナーみたいな形でやったらどうかな」と今回の2番手起用につながった。新たな働き場で躍動した右腕は「次もそういう機会があればしっかりしたい」と、16日の楽天戦で再び奥村とのコンビでゲームメークの役割を担う。
決して突発的なプランではなかった。背景には来季以降のチーム編成上、明確な補強ポイントとして「先発」が挙げられるからだ。海外FA権を今季中に取得見込みの千賀の〝メジャー流出〟も想定しなければならない。若手先発投手の育成が芳しくない事情もある。
先発コマ不足の懸案が深まる中、投手としての能力値の高い森に白羽の矢が立つ形で水面下で進められていた。指揮官が「コントロールがいいし、気持ちも強い」と語るように、先発適性に賛同する声がチーム内で多かったことも後押しした。
球団内では「成功モデル」として沢村賞投手のOB・摂津正を重ねる声がある。9年目の森は入団以来すべてリリーフ起用からの先発挑戦。摂津は3年目に先発転向しているが、26歳でプロ入りした右腕の転向時の年齢は29歳のシーズンだった。新境地を切り開くには遅くはなく、折り返し地点を迎える森の野球人生を考えても、肉体的にプラスに働くとの見方もある。
V奪回への歩を進めつつ、常勝再建への布石は打たれている。












