これもヤクルト1000爆売れ効果なのか。前年日本一に輝いたヤクルトが、今季も首位を独走している。交流戦でも優勝を飾り、リーグ2位の巨人とは実に7ゲーム差。連覇となれば球団としては野村克也監督時代の1992年、93年以来、29年ぶりとなるが、このまま最後まで突っ走れるのか。前回の連覇当時、打撃コーチを務めた球団OBで本紙評論家の伊勢孝夫氏が、当時と現在のチームについて言及した。
【新IDアナライザー 伊勢孝夫】正直、この状況は予測できていなかった。「これまでのパターンからすると、優勝した翌年はまあ4位ぐらいやろ」と思っていたし、戦力的にも奥川、サンタナを欠いている。OBながら「何でこの位置にいるんだ?」とびっくりしている。
ただ、よくよく見てみると、前回連覇した時のチームと状況的にはよく似ている。当時は広沢、池山、飯田らの若手がベテランたちを押しのけるほどの伸び盛りだったし、何より扇の要・古田の存在が大きかった。
今年のヤクルトも山田はベテランの域に入ってきたが、主砲の村上はもちろん、長岡が出てきたりと、楽しみな若手が増えてきた。長岡は同じショートの池山二軍監督がきっちり育てたんだろうね。塩見はびっくりしたように打ちよるし、青木も若手に脅かされるようになってきた。そして投手陣をたばねるムーチョ(中村)の存在は、あの時の古田に匹敵するぐらいのものだと思っている。
ムーチョのリードは今、12球団で一番いいのではないか。たとえば阪神の佐藤輝に対し、間違いない攻め方をしているのは彼だけだ。インハイのボール球を要求する際、中腰になるのもあいつだけ。ミーティングを大事にし、そういう意識を徹底している。中村が戻ってきたことで、ヤクルトの戦い方は一変した。
そして、村上がすごいのは右投手と左投手で構えを変えているところ。右投手だとクローズ気味にして、左投手にはややオープンにして対応している。あれは人に教えてもらってできるものではない。若いのに感心させられる。当時の左打者で言うなら、ハウエル以上、4番打者なら広沢以上の存在になっているのは間違いない。
その一方、投手のほうは93年当時と比較すると、ちょっと小粒かもしれない。コンディション不良で二軍調整が続く奥川が戻ってくれば…とも思うが、あまりアテにはしないほうがいい。聞けば、ヤクルト1000が売れまくって本社もだいぶ儲かっているんじゃないかな。昔はクラブハウスのヤクルトを家に持って帰る選手がたくさんいたもので、選手の体調面にもいい影響が出ているのだとしたら、それは喜ばしいこと。高津監督も続投が決まったようだし、野手の補強(キブレハン=前ホワイトソックス3A)はしたけど、先発ができる外国人左腕の緊急補強を本社にお願いしてもいいのではないか。
今後の見通しについては、オールスターまでに5ゲームついていたら…まあ左ウチワだろうけど、大事なのは、調子に乗りすぎて浮かれないこと。そのあたりは連覇当時を知る高津監督、池山二軍監督らがしっかりやるだろう。
(本紙評論家)












