【赤坂英一 赤ペン!!特別編】「目標は勝つこと。シーズン全試合に出場して、日本シリーズに優勝することだ。僕個人の成績を上げることより、優勝に向かって頑張りたい」

 DeNAの主砲オースティンがキャンプ中盤の15日に〝優勝宣言〟をしてみせた。「だから(外野守備で)フェンスに激突しないよう注意するよ」と、自虐ネタも披露するほど〝絶口調〟である。

 今年で来日3年目。長打力と勝負強さは誰もが認めるところだが、ハッスルプレーが過ぎてケガが多い。外野フェンスにぶつかってむち打ち症や脳震とうを起こした過去を自ら持ち出し「今年はケガしないように」と戒めていた(?)わけ。

 昨年の今ごろはコロナ禍で来日できず、開幕にも出遅れた。それを思えば、来日最高のキャンプ生活を送っていると言えよう。が、オースティン本人はこうぼやいた。

「バレンタインデー(14日)を妻と一緒に過ごせなかったのは寂しいね。(コロナ禍の)去年は妻と(アメリカで)お気に入りのハンバーガーショップへ行ったのに、今年は離ればなれだった。僕は野球選手、妻はモデルとして、それぞれの夢を追いかけているから」

 そのバレンタインデーに、オースティンは自身のインスタグラムに結婚式の画像をアップ。ステファニー夫人のウエディングドレス姿を公開し「僕はいつでも君の一番のファンだ」というメッセージを送っている。

「今年はアーミー(米軍基地)にいる妻の友人がクッキーケーキを送ってくれた。すごく大きいので(チームメートの)ピープルズ、エスコバー、ロメロにも分けてあげたよ」

 15日はその外国人投手と実戦形式で勝負するメニュー「ライブBP」に参加。オースティンは毎年、この練習でバットをまったく振らず、全球見送るだけ。これは3年目の今年まで、三浦監督が言うように「球筋を見極めるため」だとばかり思われていた。

「いや、実は、ああいう投手と勝負をする練習で、自打球を当てて左足(内側)を骨折したことがあってね。(ヤンキースに在籍していた)の2017年のキャンプ直前だ。それ以来、あの練習で打つのはやめたんだ」

 現役時代に3度三冠王を獲得した落合博満氏のようだと思っていたら、真の理由はケガ防止だったわけである。が、シーズン中もそれぐらい慎重になれば、今年こそケガをせずに全試合出場することもできるだろう。

☆あかさか・えいいち 1963年、広島県出身。法政大卒。日本文藝家協会会員。最近、Yahoo!ニュース公式コメンテーターに就任。「最後のクジラ 大洋ホエールズ・田代富雄の野球人生」「プロ野球二軍監督」(講談社)など著作が電子書籍で発売中。「失われた甲子園」(同)が第15回新潮ドキュメント賞ノミネート。他に「すごい!広島カープ」「2番打者論」(PHP研究所)など。