大山の進化にかかる阪神の近未来

2020年10月08日 11時15分

5日から4番に復帰した大山

【楊枝秀基のワッショイ!スポーツ見聞録】意義ある4番復帰であってほしい。全国の虎党もそう思っているはずだ。5日の巨人戦(甲子園)から阪神・大山悠輔内野手(25)が、8月19日の巨人戦以来となる4番に復帰した。その試合で決勝本塁打を含む3安打と活躍し、以降も4番に座り続けている。

 今季の大山は6月19日の開幕をベンチスタート。その後も代打や途中出場からの打席が多かった。だが、負傷のマルテに代わり7月4日の広島戦で途中から4番に座ると、9回に1号ソロ。そこから37試合連続で4番を務めた。

 ただ、好調キープとはいかなかった。不調にあえぐ間にサンズに4番を明け渡した。今回はそのサンズの死球禍で4番復帰となったが、即座に結果で応えたのは成長の証しだ。

 昨季就任1年目の矢野監督にオープン戦から4番を任せられ、開幕戦も4番として迎えた。だがこのころから、かつて球界を代表する4番だった男は疑問を呈していた。それは近鉄最後の4番で米大リーグ・ドジャースなどでも活躍した中村紀洋氏(47)だ。

「チーム方針というのもあるかもしれないが、そもそもポジションや打順というのは与えられるものではない。そういうケースは失敗することが多い。競い合うからこそチーム自体も強くなる。まして、阪神。結果が出なかったらファンやマスコミが黙ってない」

 大山は昨年6月までに2桁本塁打を記録。順調な滑り出しを見せたかに見えた。だが、その後は失速。チームも勝率5割を割り込むことになると4番・大山にこだわる矢野監督への批判も噴出した。

 矢野阪神1年目は105試合で4番・大山をガマンした。だが、それを評価する声は多くはなかった。中村氏の懸念は的中し与えられた4番で望んだ結果を得られなかった。

 だからこそ、今季の大山は違うんだと思いたい。開幕スタメン落ちからレギュラー奪取。
4番も実力で取り戻した。巨人・岡本と本塁打王争いを演じる姿を、シーズン序盤に誰が想像しただろう。

「プロで4番を打てる人は特別。普通じゃない。そのカベを自力で越えてこそ意味がある。まして阪神で4番なら打てば神様。夢のある仕事ですよ」(中村氏)

 2020年、大山がどこまで進化するのか。ここからの伸びしろに阪神の近未来がかかっている。そう言っても過言ではないはずだ。