大谷翔平の「ステージが出来上がった」試合とは… 米地元番記者が選んだ「BEST SHO TIME」【前編】

2022年01月01日 11時01分

3氏が選んだ4月4日Wソックス戦「初のリアル二刀流」(ロイター)
3氏が選んだ4月4日Wソックス戦「初のリアル二刀流」(ロイター)

 MLBにとって記念すべき1年となった2021シーズン。主役はもちろんエンゼルスの大谷翔平投手(27)だ。投打の二刀流で歴史的なシーズンを送り、満票でア・リーグMVPに輝いた。右腕から101・1マイル(約162・7キロ)の剛速球を繰り出し、バットで飛距離470フィート(約143メートル)の特大弾を叩き出す異次元のパフォーマンスに日米の野球ファンは連日、熱狂。それは記者席も同じだ。間近で目撃した地元紙の番記者たちの最も印象に残っている「SHO TIME」を前後編でお届けする。
(構成・青池奈津子)

【ロサンゼルス・タイムズ紙=ジャック・ハリス記者】

 一番鮮明に焼き付いている試合はメジャー初のリアル二刀流で出場した4月4日ホワイトソックス戦。ただ、ポイントは投打のパフォー
マンスではない。「投球もさることながら、あのホームプレートでの衝突。例年なら、あの転倒でケガして離脱か、やっぱり二刀流は難しいかと思ったけど、大丈夫だったときに、今季のステージが出来上がったと思った」

 3点リードの5回二死一塁から連続四球で満塁として暴投で1失点。なおもモンカダをスプリットで三振を奪ったものの、捕手スタッシが後逸して、さらに一塁へ悪送球。本塁のカバーに入った大谷は2人目の走者・アブレイユと交錯。同点になったこともあり、降板した。ふくらはぎを痛めたと発表され、離脱が心配された。しかし、翌5日のアストロズ戦で8回に代打で出場。6日からスタメンに戻った。

「あれが、最初のサインだった」。体の強さを見せたことで成功を確信した。

「最も興味深かったのは、前代未聞の歴史的なことを追ったこと。そして彼の起用法を彼もチームも一緒に学んでいたこと。体の状態や野球の調子をうまく要望に合わせながら、できる限り出場する方法を探っていたのを毎日追うのが面白かった」と振り返る。

【オレンジカウンティー・レジスター紙=ジェフ・フレッチャー記者】

「いけるかも」と確信したのは、メジャー移籍後初のリアル二刀流で出場した4月4日(同5日)の本拠地ホワイトソックス戦だった。

「一番好きな大谷の瞬間は、簡単。今季初先発登板。初回表に時速101マイル(100・6マイル=約161・9キロ)の球を投げ、初回裏に450フィート(451フィート=約137メートル)の本塁打を放った。その2つを1イニングでやってのけ、能力をまとめて見せつけた。それで、今年はいけるかもしれないねってみんなに思わせてくれた」

 この試合では全92球中100マイル(約161キロ)超えが9球で、最速は101・1マイル(約162・7キロ)だった。

「彼のパフォーマンスを見ているのが純粋に楽しかった。シーズンが始まった時は僕らは誰一人、彼が(二刀流を)できるとは思っていなかったから。願っていたけれど、これまで故障や不調でできておらず、毎年残念だった。でも今季は本当にアメージングだったし、時折自分に『これを当たり前だと思ったらダメだ』とリマインドしたよね。チームで一番の投手が、年間40本以上の本塁打を打つなんて、途方もないよ」

 最後に「大谷はまるでスーパーマン。みんなのできないことができる」と絶賛した。

【MLB公式サイト=レット・ボリンジャー記者】

 一番好きな場面に挙げたのは「最初の先発登板して本塁打を放った試合(4月4日)。日曜日で、ホワイトソックスはすごくいいチームで、出てきて初回に球速100マイルを投じ、本塁打を放ってすごいよね」とリアル二刀流に“KO”された。

「あとは敵地レイズ戦(6月25日)で、キャットウオーク(天井近くの業務通路)に当たった本塁打も好きだし、シアトル戦(7月9日)で3階席に届いた本塁打、タイガース戦(8月18日)の8イニング投げて40号を打った試合」

 さらに「試合以外だと、(オールスター戦前日恒例の)ホームランダービーの賞金をエンゼルスの従業員らに寄付したこと。まだ大型契約を結んでいないのに、気前良く差し出した彼の人間性が素晴らしい。そんなことをした選手の話は聞いたことがない」。

大谷が愛されるゆえんだ。

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