第94回選抜高校野球大会第1日(19日)、第1試合で浦和学院(埼玉)が大分舞鶴に4―0で快勝し、森大(だい=31)監督が甲子園初陣を飾った。

 4回に鍋倉の先制打と高山のバックスクリーンへの大会第1号2ランなどでリードを広げ、投げてはエース左腕の宮城が2安打、13奪三振の完封劇で新指揮官に勝利をプレゼント。森監督は「新生・浦学を見せようと選手全員が頑張った。前監督から引き継いだ伝統の投手力、守備力が随所に表れた。甲子園に来させてもらって感謝です。感無量です」と喜びをかみしめた。

 浦和学院と言えば、早朝練習を取り入れた猛練習で知られる関東を代表する強豪校。30年間にわたって指揮を執った〝名将〟で父の森士(おさむ=57)前監督が退任し、昨秋に森監督が受け継いだ。重圧もあったが「新生・浦学」を掲げ、ユニホームも伝統のデザインに刷新。効率化を図って自主性を重んじ、楽しく練習に取り組ませた。ナインは「一日の流れが変わった。練習時間が短くなった分、自主練で個々の課題に取り組めている。弱いところをみんなで指摘し合い、考えて練習できるようになった」と話している。

 31歳の若さで選手とともに汗をかき、LINEのやり取りもある。「前の監督は存在が大きすぎて距離が遠かったけど、新監督は打撃投手もやってくれるし、一緒に練習してくれる兄貴みたいな存在。ジャンケンで勝ったらダッシュの本数を減らしてくれたり、楽しく取り組めている」と選手に好評だ。もちろん前監督が重んじた礼儀礼節、学校周辺のゴミ拾いの良き伝統は継続している。

 前夜に前監督から電話で「恐れるな。新生・浦学として思い切ってやれ」と背中を押され、選手も思いに応えてくれた。青年監督が新しい歴史を作っていく。