エンゼルス・大谷翔平投手(23)の「身体能力」にMLBの枠を超えた関心が集まっている。エンゼルスと同じロサンゼルスに本拠を置くNFL・ラムズのショーン・マクベイ・ヘッドコーチ(31)がその一人で、アメフット界の若き指揮官は「ワイドレシーバーとしての大谷の能力」に重大な関心を寄せているという。

 24日(日本時間25日)のアストロズ戦に先発予定の大谷。22日(同23日)のジャイアンツ戦では「4番・DH」で出場し、安打を放ったことが話題となるなど全米の“大谷フィーバー”は、少しも衰える気配はない。

 一体、大谷の何がそこまで米国人のハートをつかんでいるのか。それはズバリ「アスリートとしてのずばぬけた身体能力にある」と断言していい。ロサンゼルス・タイムズの名物コラムニスト、ディラン・ヘルナンデス記者(37)は「エリック・デービスやダリル・ストロベリー以来、久々に出てきた待望の『アスリート』が大谷。日本人プレーヤーだから歴史的にもトップアスリートのイメージが米国全体になかった。その既成概念を打ち破るデビューの仕方にMLB全体が熱狂している」と大谷現象の根幹を解説した。

 米国では現在、富裕層をターゲットにしたMLBの高級化志向で身体能力の高いアスリートは野球ではなく、バスケットボールやアメフット選手を目指す傾向があり、野球でスーパースターが出にくい状況だという。そこに大谷の登場である。

 同記者は大谷のアスリートとしての資質の高さを「あのサイズの身体(193センチ、97キロ)を末端まで無駄なくコントロールし、使いこなせていることが驚き。あのサイズの選手は通常あのスピードで塁間を走れない」とメジャーでもトップランクに位置する大谷の走力を絶賛。その上で「彼はたまたまベースボールをしているから投手と野手の二刀流をしているが、もし学生時代を米国で過ごしていたら他の才能が開花していた可能性は高い」と断言する。

 そして同記者は「つい先日、NFLロサンゼルス・ラムズのショーン・マクベイ・ヘッドコーチと話をしている時に大谷の話題になった。マクベイは『大谷の能力があればNFLでも十分に成功していた可能性はある。見てみたいポジションはワイドレシーバーだ』という話をした」という裏話を打ち明けた。

 アメフット界の若き指揮官が注目しているのは、本塁から一塁ベースまでを3・8秒後半から3・9秒前半で駆け抜ける大谷の走力としなやかな身のこなしだという。アメフットで攻撃の中心的ポジションであるクオーターバック(QB)がどんな完璧なパスを出したとしても、それをキャッチする優秀なレシーバーがいない限り得点にはならない。そのレシーバーに求められる走力、身のこなし等の高い身体能力と戦術理解のための知力を、マクベイヘッドコーチはデビューからわずか十数試合で見せた二刀流・大谷の動きに感じ取っているのだという。

 ヘルナンデス記者は「レシーバーに求められる走力は40ヤード(約36・576メートル)を平均4・5~4・6秒。大谷にはおそらくエリートクラスの4・4秒の走力があり、加えてあの背丈がある分、QBは通常より高いパスを投げられる。そして彼は頭もスマート。戦術を深く理解し、マークを外してどんな身のこなしでパスをキャッチするのか。マクベイはそんな想像を巡らせている」と大谷の無限の可能性に言及している。

 仮定の話とはいえ、MLBの枠を飛び越え、米国人のイマジネーションを刺激する大谷の存在感は、いよいよ形容できない領域に踏み込んできた。