1枚17億円超の〝お宝〟にも、労使紛争の暗雲が迫っている。大リーグの現行労使協定は米東部時間の12月1日午後11時59分に期限切れを迎える。サラリーキャップ制を巡る溝は深く、新協定がまとまらなければ球団オーナー側はロックアウトに踏み切る構えだ。その余波はグラウンドの外にも広がりそうだ。
米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は3日(現地時間)、長期の試合中断がベースボールカード市場に及ぼす打撃を特集。ドジャース・大谷翔平投手(32)らの人気を背景に拡大してきた巨大市場が、思わぬ転機を迎える可能性を浮き彫りにした。
通常、現役選手のカードはオフに値を下げても、開幕が近づけば需要が戻る。だが、来季の開幕が遅れれば話は別だ。選手の活躍や記録更新に連動した値上がりの材料が消え、若手有望株のカードほど将来性を測る機会を奪われる。試合の名場面を直後にカード化して販売する「トップス・ナウ」も、新たな題材がなければ販売に苦しむことになる。
気になるのは、規格外の値札が付いた大谷カードの行方だ。7月には2024、25年の2年連続MVPを記念した金色のMLBロゴ2枚と、英語・日本語の直筆サイン入りカードが1100万ドル(約17億4000万円)で売買された。世界に1枚しか存在せず、スポーツカード史上3位の高額取引となった。
ところが、超希少品だからといって市場の逆風と無縁とは限らない。同サイトで見解を示した競売大手ヘリテージ・オークションズのクリス・アイビー氏は、大谷やアーロン・ジャッジ外野手(34=ヤンキース)のカードは急落しない一方、価格の伸びが鈍ると予測。試合がなければ新たな偉業による〝上乗せ〟が期待しにくく、買い手の熱狂も冷めかねない。
半面、米スポーツカード販売会社「カードボールト」のクリス・コスタ共同創業者は「試合がなければ不振による値下がりも起きず、すでに確立した実績が価格を支える」と分析する。大谷の希少カードは底堅くても、現役選手の新商品や販売業者には厳しい冬が訪れる恐れがある。ロックアウトが長引けば、資金がバスケットボールやポケモンなどのカードに流れる展開も現実味を帯びる。球界の〝冬の戦争〟は、17億円のお宝を抱える収集家にとっても他人事ではない。












