大砲への未練を断ち、球界屈指の左腕に照準を絞る。大型補強を狙うメッツが、阪神・佐藤輝明内野手(27)の獲得戦線から手を引く方向に傾き、今オフ最大の目玉であるタリク・スクバル投手(29)の争奪戦に本腰を入れる可能性が高まってきた。

 米スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は3日(日本時間同3日)、ポスティングシステムでのMLB移籍を目指す佐藤の獲得にメッツが積極的ではなくなったと報じた。最大の理由は、ボー・ビシェットが来季の契約を継続する選択権を行使し、残留が決まったことだ。球団は同選手の三塁転向を高く評価しており、マイナーにもミッチ・ボイトら有望内野手が控える。ポスティングシステムでメジャー移籍を目指す佐藤に多額の資金を投じる必要性は薄れた。

 佐藤の起用法も障壁となる。三塁にはビシェットがおり、佐藤の外野守備経験は限定的。一塁へのコンバートも選択肢にはなるが、守備位置を変えてまで獲得することにはリスクが伴う。資金力で知られるスティーブ・コーエンオーナーの球団とはいえ、優先順位は明白になった格好だ。

 それが先発投手の補強だ。メッツは来季のローテーション入りが見込まれるノーラン・マクリーン、クリスチャン・スコットらがいるものの、先発陣の層には不安が残る。同サイトは、球団がFA市場でエース級から中堅、控えまで幅広く投手を探し、トレードも視野に入れていると分析。中でも最大の標的となるのがスクバルだ。

 今季途中にタイガースからドジャースへ移籍し、FAとなった2度のサイ・ヤング賞左腕は、争奪戦の主役だ。米全国紙「USA TODAY」は3日(現地時間)、今オフのFA選手112人を格付けしたランキングでスクバルを堂々の1位に選出。ロックアウト突入までに来季の所属先が決まるのかを大きな焦点に据えた。

 現行の労使協定は12月1日(同2日)に期限切れを迎える。新協定がまとまらずロックアウトとなれば、FA契約やトレードは凍結される見通しだ。残留を狙うドジャースなどライバルも強力なだけに、メッツが動くなら時間との勝負になる。佐藤を見送れば、その先に待つのは今オフ最大級の〝札束合戦〟。その結末が決まるまで、時計の針は止まってくれない。