【昭和~平成スター列伝】ミスター女子プロレスこと神取忍(LLPW―X)は、11月2日にKanadevia Hall(旧・東京ドームシティホール)で40周年記念大会を行う。メインでセンダイワールド王者の橋本千紘と組み“太陽神”Sareee、MIRAI組と対戦が決定。現在の女子プロ界のトップを疾走する若手たちにミスターが加わる異色かつ注目の一戦となった。「いつも『無理だ』『できない』と言われたことをひっくり返す反抗心で40年やってきた。どんな相手とも戦ってきた。今回も現在の女子プロのトップがどれだけのものなのか、挑発されたけど格の違いを見せてやるよ」と神取は殺気をみなぎらせた。
確かに柔道出身の神取はデビュー当時から態度の悪さもあって「プロレスができない」と言われ続けてきた。しかし1990年代の対抗戦ブームでは全女の北斗晶、ブル中野、アジャ・コング、豊田真奈美、井上京子、FMWの工藤めぐみらと名勝負を展開。その後は天龍源一郎とも戦い、異種格闘技戦にも進出した。実は殺気を携えながらどんなタイプにも適応できる能力を持った稀有なプロレスラーなのだ。
試合前は「絶対にかみ合わない」と言われた93年8月25日、日本武道館の井上京子戦も前評判を覆す屈指の名勝負となった。
「腕が、足が、そして首が音を立ててきしんでいく。神取は執拗に井上京の関節を締め上げた。腕ひしぎ逆十字、アキレス腱固め、裸絞め。しかし最後だけはどうしようもなかった。“関節の鬼”藤原喜明直伝の腹固めが、リング中央でガッチリ決まる。さすがの強気娘も17分44秒、たまらずギブアップの声を上げた。殺気と陽気。全く異なるムードを持つ神取と井上京。井上京がつり天井、ジャイアントスイングなどの派手な技で場内を沸かせるが、直後には神取がグラウンドへ持ち込み、空気を凍らせてしまう。8分過ぎから執拗にスリーパーを狙う神取。井上京のスタミナが奪われていく。投げ捨てジャーマン、最上段からのエルボーで逆転を狙うが、そのたびに神取は関節に絡みつく。十八番のナイアガラドライバーも何度も寸前で逃げられてしまう。そしてフィニッシュは突然に訪れた。神取がチキンウイングフェースロックから体勢を入れ替え、手と両足で井上京の両腕を完全にロック。腹固めがパーフェクトに決まり、究極の異次元対決は幕を閉じた。神取は『とにかく全女が嫌いなんだ。腹が立つ。北斗だろうが誰だろうが戦えば倒すだけ』と殺気をみなぎらせた」(抜粋)
神取は当時を振り返り「対全女に限らず『凡戦になる』と言われると逆に闘志が湧いた。反抗心と負けず嫌いだけが支えだった。何が面白いか追求し続けたけど、全部動物的カンで動いていたし、実は器用なんだよ。まだまだ求めるものはある。藤波(辰爾)さんが70歳を超えてもメインを張ってるんだから負けられないだろ? 40周年も現在の神取忍をお見せするよ」と、神取は脱臼しそうなほどの力で記者の肩を強く叩いた。40周年は神取の新たなスタートとなりそうだ。













