【グレイシーハンターの〝真実〟 IQレスラー桜庭和志 実録 桜道(41)】2015年12月29日、新たな格闘技イベント「RIZIN」の旗揚げ戦であの子(※)と対戦しました。

 試合は腑に落ちないものになりました。リング中央でのレフェリーの説明中になぜか、あの子から何度も握手を求められたんです。応じはしたけど心の中で「何回握手するんだ」って思って…。結果はテークダウンされてマウントから殴られて終了(1ラウンド5分56秒TKO負け)。それで試合後ずっと考えたんですよ。「なんであんなに散々タックル切る練習してたのにこんな簡単に取られたんだろう。俺も年で限界なのかな」って。

 それで2日くらいして〝アッ〟と気付きました。あの子が試合が始まったらパッと両手を上げたんです。それで一瞬「え? 今度はハイタッチ?」と思って僕の腰が上がってしまった。そこをタックルされたんです。僕としては「ああ、そういうことをするんだ…。スポーツマンシップを悪用するんだ。こういう子とは正々堂々と試合することはできないんだな」と思いました。

 その後、RIZINではグラップリングを2試合しました。16年4月の「RIZIN.1」では所(英男)君と組んでタッグマッチでヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)と対戦。試合前の会見で、セコンドで来ていた(アンドレ)ジダを通じて「ケンカを吹っ掛けるけどいいか? その方が面白いから」って言ったらシウバも「オッケー、オッケー」ってノリノリでした。それで吹っ掛けたらシウバが乱闘騒ぎ。周りの人が焦って本気で止めててメチャクチャ面白かったですね。

指導した那須川天心(中)が所英男(下)を相手に試技(17年10月)
指導した那須川天心(中)が所英男(下)を相手に試技(17年10月)

 あとは17年10月の「RIZIN.7」でフランク・シャムロック(米国)と試合をしました。相手はガチガチに守ってきたんですよね。実はこの試合、最初の契約で僕がルールを決めていいことになったんです。それで「試合時間は10分で」って言ったら、向こうが「練習してないから短くしてくれ」って言い出したんです。でも間に入っている人に「こっちがルール決めていいって言ったんでしょ。だからこのルールでやります」って断固として譲らなかった。

 やっぱりね、昔の体重の話もありますよ。「90キロ以下にしてほしい」って言ってるのに、結局みんな100キロ以上で来ていたから。そういう思いもあって、やり返しじゃないですけど、かたくなに意見を曲げませんでした(笑い)。その結果フランク・シャムロックが怒ってガチガチの試合になっちゃったんです。

シャムロック(左)戦は引き分け(17年10月)
シャムロック(左)戦は引き分け(17年10月)

 この経験をポジティブに捉えて生かしたのが、18年旗揚げのグラップリングイベント「QUINTET」。フランク・シャムロックのおかげでガチガチに固める選手には「指導」を使うっていうアイデアが生まれました。次は最終回。そのQUINTETについて話します。

 ※…青木真也 

 

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