〝麟太郎イズム〟は今も脈々と受け継がれている。第108回全国高校野球選手権大会第5日は9日に甲子園で行われ、第1試合で花巻東(岩手)が新田(愛媛)を4―2で下し、2年連続の初戦突破を決めた。
1点リードの8回には、三走・赤間史弥外野手(3年)が外野からの返球のすきを突いて本塁を陥れる好走塁。先発した萬谷堅心投手(3年)が左指をつり、赤間も両足をつるアクシデントに見舞われる中での辛勝に、佐々木洋監督も「最後の最後までハラハラしました」と胸をなで下ろした。
そんな接戦をものにしたナインの中には、先月19日にマーリンズ入りを表明した同校OB・佐々木麟太郎内野手(21)が残した〝遺産〟が息づいている。
打撃練習では、佐々木のように体全体を大きく使ってバットを振ることを意識。部員の1人は「(佐々木)麟太郎さんは、とにかく打つことを大事にされていました」と明かす。1日練習では計5時間を超えるフリー打撃にも取り組み、かつて佐々木が重ねた猛練習を後輩たちも黙々とこなしているという。
そのレガシーだけではない。ナインの間では、怪物打者らしい豪快な〝伝説〟も語り継がれている。舞台は同校OBの菊池雄星投手(35=エンゼルス)が手がけた日本最大級の全天候型複合野球施設「King of the Hill」(通称KOH)の建設時。花巻東の野球部グラウンドに隣接し、2024年11月に完成した施設で最新機器を備え、冬場にはナインのトレーニングにも活用されている。
その着工時、佐々木が練習で柵越えを連発し、右翼フェンスを越えた打球が建設エリアへ飛び込んだため、工事がたびたび中断。果ては「完成時期まで延びた」との説まであるという。真偽はともかく、渡米前から規格外の打棒を物語る〝麟太郎伝説〟として後輩たちに刻まれている。
チーム内には、佐々木と同じ道を志す選手も少なくない。佐々木監督自身、息子の米大学進学を後押しした。高校卒業後に海外の大学へ進み、そこからメジャーを目指す――。花巻東から新たな〝麟太郎ロード〟を歩む選手が現れても不思議ではない。













