大統領にならなければ、メジャーの強打者だったのか――。米国最高権力者がかつて口にしていた半世紀以上前の〝幻のMLB入り〟が、思わぬ形で再び脚光を浴びている。英スポーツメディア「HITC」は7日(日本時間同日)、ドナルド・トランプ米大統領が若き日にMLB球団からスカウトされていたとする説をあらためて取り上げ、その真偽に迫った。
トランプ氏はニューヨーク陸軍士官学校時代、複数のスポーツに取り組み、最終学年には野球部の共同主将も務めた。HITCが根拠として紹介したのは、当時指導したセオドア・「テッド」・ドビアス氏の証言だ。同氏は英紙「デーリー・メール」に、トランプ氏について「かなりの運動神経の持ち主だった」と振り返り、レッドソックスとフィリーズ、さらに米陸軍士官学校(ウェストポイント)のコーチからも注目されていたと語っていた。
もっとも、ここには慎重さも必要だろう。レッドソックス、フィリーズの両球団はこれまで、この「スカウト説」を公に裏付けていない。しかもトランプ氏自身が2013年4月3日(同4日)にSNSで発信したのは「ニューヨーク州で最高の野球選手だと言われた。ドビアス・コーチに聞いてくれ」という趣旨で、2球団からの勧誘を具体的に記したものではない。16年大統領選で初当選を果たす3年以上前の投稿であり、本人の豪語と恩師の証言が重なって、後年まで語り継がれている格好だ。
それでも興味深いのは、米国外、それもMLBを主戦場としない英国のメディアが13年前の発言を今になって掘り起こしたことだ。名前を挙げられた2球団にとって歓迎すべき過去かどうかは別として、現職大統領との接点が世界へ再発信される露出効果は小さくない。政治的評価とは切り離しても、世界的知名度を持つ大統領が野球を語ること自体、MLBにとって話題の接点を広げる材料にはなる。
トランプ氏と球界の距離も遠くない。昨年9月にはヤンキース戦を観戦し、故ジョージ・スタインブレナー元オーナーとの親交に言及。7月22日(同23日)のジョージア州での集会でも「私は野球が好きだ」と語り、ブレーブス幹部を称えつつ低迷するメッツの戦いぶりまでチクリと刺しながら話題にした。
〝幻のメジャーリーガー〟の真相は、なお霧の中にある。ただ、その一言一句が海を越えて球団名まで再浮上させるあたり、トランプ氏がMLBに持ち込む話題性だけは今もメジャー級と言えそうだ。












