勝っても、猛虎の暗中模索は晴れきらない。交流戦最終戦の快勝は、黄金ルーキーの試練と表裏一体だった。阪神は17日の楽天戦(甲子園)に10―3で快勝し、連敗を2で止めた。打線は12安打と奮起し、先発の大竹も6回3安打無失点で今季3勝目。交流戦は6勝12敗で4年連続の負け越しとなったが、最終戦でひとまず意地を示した。

 その白星の裏で、ドラフト1位ルーキー・立石正広内野手(22=創価大)がこの日、出場選手登録を抹消され、二軍降格となった。交流戦突入前はプロ初本塁打を放つなど勢いに乗っていたが、パの強力投手陣を前に失速。打率は2割2厘まで急降下し、16日の西武戦(甲子園)では4打数4三振。涙を浮かべる場面もあった。

 入団前から立石を知る森下翔太外野手(25)は「いい壁だと思いますよ。1年目にそういう壁にぶつかれるのは、試合出てる人しかできない経験。アイツもいつも野球すごい考えながらやってるヤツだし、レベルアップできるチャンスじゃないかなと」とうなずいた。

 森下自身もルーキーイヤーの2023年にプロの洗礼を浴び、4月と6月に二軍降格を経験した。そこからはい上がり、日本シリーズでは新人記録の7打点をマーク。チームの日本一に大きく貢献した。苦い時間を結果につなげた先輩だからこそ「最初からうまくいく人なんていないんで、自分も含めて。自分もファーム落ちてからいい結果を得られることが多かったし、いい形で戻ってきてくれれば」とエールを送った。

 もちろん、立石にとっては自分を見つめ直す貴重な時間になる。ただ球界OBからは藤川球児監督(45)の判断に対し、次のように疑問を呈する声も出ている。「藤川監督は新人の立石に背負わせすぎている。打順も1番だけでなく、6、7番でも使われていた。チーム全体が打てていない中では重圧になったはず。それで4三振の直後に二軍となれば、本人のモチベーションが持つか心配だ」。

 首脳陣の決断は、冷却期間か、過重な期待の反動か。賛否が分かれる降格を成長の糧に変えられるかどうか。虎の黄金ルーキーは、ここから真価を問われる。