また今年も、名前だけが市場で一人歩きしている。米メディア「ヤードバーカー」が各方面で沸騰中のエンゼルスのマイク・トラウト外野手(34)を巡るトレード説にクギを刺す見解を伝えている。

 エンゼルスは1日(日本時間2日)の試合終了時点で23勝38敗、ア・リーグ西地区最下位。10月の舞台から遠ざかる状況が続くたび、将来の米国野球殿堂入りが確実視されるスターの去就は燃え上がる。今季もドジャースやフィリーズなどの名前が取り沙汰されているが、現実の壁は厚い。

 焦点となっているのは、右打者不足に苦しむフィリーズだ。米全国紙「USA TODAY」のボブ・ナイチンゲール記者は、フィリーズの右打者が打率2割1分7厘、出塁率3割1分5厘、OPS・585と苦戦している点を指摘。8月3日午後6時(同4日午前7時)のトレード期限までに右打者を探すとの見通しを示しながらも、トラウトがフィラデルフィアへ向かうことはないと断じている。

 理由は明確だ。トラウトには今季終了後も1億4846万ドル(約237億円)の契約が残り、完全なトレード拒否権もある。補強ポイントには合致しても、選手本人が拒否権を放棄しなければ話は進まない。獲得を望む側の切実さと、契約上の主導権を持つ本人の意思はまったく別の問題。前出のヤードバーカーも、ナイチンゲール氏の指摘を基に「キャリアのすべてをエンゼルスで過ごしてきたトラウトが、この段階で権利を手放してまで移籍に動くとは考えにくい」との見方を示す。

 1日(同2日)時点でトラウトは打率2割4分2厘、14本塁打、31打点、OPS・898。本人の基準では物足りない数字とされる一方、ハーパー、シュワバー、マーシュら左打者に依存するフィリーズ打線を底上げする存在であることは間違いない。

 それでも、願望と現実は別物だ。トレード説がヒートアップするほど、拒否権と巨額契約の重さが浮かび上がる。エンゼルスと一蓮托生の道を選び続けてきたトラウトを巡る移籍話は、今夏もまた市場の熱気だけを残してしぼむ可能性が高い。