ブーイングを浴びた左腕が、今や世界一軍団の終盤を支える柱になっている。ドジャースのタナー・スコット投手(31)が、昨季の悪夢を振り払うような快投を続けている。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は22日、スコットの復活劇を詳報した。

 ドジャースは21日(日本時間22日)現在、31勝19敗でナ・リーグ西地区首位。救援陣は29イニング連続無失点を記録し、少なくとも1998年以降では球団最長のゼロ行進を続けている。その中心にいるのがスコットだ。右肘手術で後半戦まで長期不在が見込まれるエドウィン・ディアス投手(32)に代わり、9回だけでなく7、8回の最重要局面にも投入される勝ちパターンの切り札となっている。

 
 今季はここまで21試合で1勝1敗4セーブ、防御率1・37。19回2/3を投げ、被安打9、3失点、20奪三振、WHIP0・61と安定感は際立つ。昨季は4年7200万ドル(約115億円)の大型契約1年目ながら防御率4・74、11被弾。ポストシーズンでは1球も投げず、「俺は最低だった。単純に言って、最低だったんだ」と同サイトに振り返った。

 崩れた原因も明確だった。2ストライク後、甘く入った球を痛打される場面が続いた。スコットは「2ストライクを取っても、ボールがプレートの真ん中に甘く入ってしまい、それが大きなダメージを与えていた」と独白。昨季はカウント有利の場面で浴びた6本塁打が、過去2年間の全被本塁打数に並ぶ異常事態だった。

 転機は開き直りだった。「ただ洗い流そうとしただけさ。1月1日になって、新年、新たなスタートを切った時、以前の自分に戻って、自分の能力を信じるようにした」。狙いはストライクを投げ込むことではなく、甘いゾーンに外さないこと。空振りを奪える球威は残っており、再びそれを生かす意識に戻した。

 19日(日本時間20日)の敵地パドレス戦では、4―4の7回二死二、三塁で登板。ラモン・ラウレアノ外野手(31)を右飛に打ち取り、八回もマニー・マチャド内野手(33)らを封じて1回1/3を無安打無失点。チームの5―4勝利を呼び込んだ。

 ディアス不在で空いた穴は、補強失敗の象徴と見られた男が埋めている。昨季のスコットは終盤の不安要素だった。今季のスコットは、ドジャースが3連覇へ突き進むための防波堤そのものになっている。