白星を重ねても、胸を張り切れない現実がある。レッドソックスの〝便利屋〟が、浮上ムードに冷水を浴びせるような異例の警告を発した。ボストンは19日(日本時間20日)、敵地カウフマン・スタジアムでロイヤルズに7―1で快勝。2連勝で同日現在21勝27敗とし、ア・リーグ東地区では首位レイズと11・5ゲーム差ながらワイルドカード圏内までは2ゲーム差に踏みとどまっている。

 ただし、その立ち位置を額面通りに喜べる状況ではない。レッドソックスと資本関係も結ぶ米放送局「NESN」が同日、クローズアップしたのは、アイザイア・カイナー=ファレファ内野手(31)の試合後コメントだった。今季から加入した日系3世のユーティリティーは「打撃面では、これほどひどい成績でワイルドカード争いに残っているべきではない」と率直に語り、低迷打線への危機感をにじませた。

 この日の勝利も、決して打線が完全に目覚めたと断言できるものではない。2点リードの9回二死一、三塁からジャレン・デュラン外野手(29)が5号3ランを放って突き放し、ウィルソン・コントレラス捕手(34)も2安打3打点。カイナー=ファレファ自身も3打数3安打1四球と気を吐いた。チームは15安打7得点で、3得点以下が続いていた9試合の停滞をようやく断ち切った。

 一方で、主軸候補の波はまだ安定しない。吉田正尚外野手(32)は途中出場で3打数1安打としたが、今季通算は打率2割6分2厘、0本塁打、6打点、OPS・709。出塁率3割6分4厘と一定の存在感は示しているものの、チーム全体の得点力不足を一気に解消するほどの爆発には至っていない。

 それでもカイナー=ファレファは「投手陣が素晴らしい投球で支えてくれている。打撃面ではもっと良いプレーをしなければならないし、ようやく活気が出てきた。この調子を維持できれば侮れない」とも強調した。裏を返せば、投手陣に支えられながら何とかプレーオフ戦線にしがみついているのが実情だ。

 アレックス・コーラ監督(50)の途中解任を経たチームは、依然として再建途上の色を残す。それでも混戦のア・リーグでは、借金6でも10月への道がかすかに見える。便利屋の〝自虐警告〟は失速提言ではなく、むしろレッドソックスが本当に危険な存在へ変わるための最後通告でもある。