フィリーズの反攻を動かしているのは、昨秋に浴びた一言への反発なのか。ブライス・ハーパー内野手(33)が、再び「エリート」の看板を取り戻しつつある。

 フィリーズは19日(日本時間20日)、本拠地シチズンズバンク・パークでレッズに1―4で敗れ、5連勝は止まった。それでも今季成績は25勝24敗でナ・リーグ東地区2位。首位ブレーブスとは8ゲーム差ながら直近10試合は8勝2敗と、4月の低迷ムードからは驚異的なハイペースで明らかに抜け出している。ヤンキースの名内野手で元ドジャース監督のドン・マッティングリー監督代行(65)体制でも16勝5敗と立て直しが進む。

 その中心にいるのがハーパーだ。この日はレッズのチェイス・バーンズ投手(23)らに封じられ、4打数無安打2三振。だが今季通算では打率2割7分1厘、12本塁打、30打点、OPS・903と十分な迫力を示している。昨季は27本塁打、OPS・827をマークしながらも、球団編成本部長デーブ・ドンブロウスキー氏(69)から「エリートではない」と評された。その言葉は本人の胸に刺さったままだった。オフに「エリートじゃない」と記されたTシャツを着ていた姿も話題となったが、今はその反骨心をバットで証明している。

 米メディア「ヘビー」は、ドンブロウスキー氏の発言がハーパーの闘争心に火を付けたと指摘。実際、米野球評論家ジャレッド・カラビス氏は「依然として非常に優秀」と評し、米専門メディア「ジャスト・ベースボール」は直近30試合でOPS1・002、10本塁打、19打点とハーパーがMLBを代表する選手として健在であることを紹介した。野球記録研究家のライアン・M・スペイダー氏も「本当に一流。まさに野獣だ」と称賛。フィリーズ専門ポッドキャスト番組の司会者であるジョン・ストルニス氏も「今まさにエリートレベル」とうなった。

 ただチーム全体としては課題も残る。カイル・シュワバー外野手(33)が長打力で支え、ブライソン・ストット内野手(28)やアレク・ボーム内野手(29)も上向きつつある一方、トレイ・ターナー内野手(32)らを含めた打線全体にはまだ波がある。だからこそ、ハーパーの復活は単なる個人成績にとどまらない。中傷にも映った一言を燃料に変えた主砲が、このままフィリーズを東地区の本命争いへ押し戻すのか。反攻の温度は、まだ下がっていない。