ドジャースにとって、110勝ペースでさえ目的地ではない。米スポーツ専門局「ESPN」(電子版)は27日(現地時間)、シーズン最初の1か月を踏まえたドジャースの残りシーズン予測を特集した。勝利数、チーム打率、先発防御率、大谷翔平投手(31)のWAR、サイ・ヤング賞争いまで幅広く論じたが、記事全体から浮かぶ本質は一つだ。今季3連覇を目指す〝西の帝国〟は記録を追うのではなく、ポストシーズンの戦いが待つ10月から逆算している。

 ドジャースは26日(同27日)時点で19勝9敗。単純計算では110勝に届くペースだが、ESPNの専門家たちはいずれも「下回る」と予想した。理由は弱さではない。むしろ逆だ。同局のジェフ・パッサン記者は、現在のドジャースがレギュラーシーズンの記録作りを最優先していないと指摘。アルデン・ゴンザレス記者も投手陣を慎重に回し、故障者の復帰を急がせず選手層を温存する運用について触れた。

 ムーキー・ベッツ内野手(33)の故障、ブレイク・スネル投手(33)の離脱、佐々木朗希投手(24)の不安定さを抱えても、無理にアクセルを踏み込んで全開にしない。そこが、この球団の「怖さだ」とパッサン記者、ゴンザレス記者ともに言い切っている。

 同日現在で打線はチーム打率2割7分8厘、先発陣もメジャー最高の同防御率2・79。大谷、山本由伸投手(27)、タイラー・グラスノー投手(32)はサイ・ヤング賞級と評価され、スネル復帰後は「今世紀最高級のローテを形成することになる」との見方も出ている。さらに大谷の最終WARを9・2から13・0、サイ・ヤング賞投票を3位前後と具体的に読む声まで出ている。

 110勝に届くかどうかは、もはや〝枝葉〟にすぎない。今のドジャースの「異常さ」は勝ち過ぎている段階でさえ、まだ本気の形を隠していることにある。記録より10月、全開より温存――。その余力こそが、王朝化を狙うチームの最大の脅威と言えそうだ。