ドジャース・大谷翔平投手(31)が24日(日本時間25日)にニューヨークで開かれた全米記者協会(BBWAA)主催の晩さん会に出席し、流ちょうな英語でスピーチした。今年は4年連続5度目のMVPを期待される一方、老若男女を問わないスター性で市場価値は天井知らず。大手企業間で繰り広げられる水面下の大谷争奪戦はシ烈を極め、新規契約を成立させられるのは〝高市バブル〟に沸くあの業界しかないとささやかれている。

 黒色のスーツとネクタイでシックに決めた大谷は、MVPに投票してくれた記者をはじめ球団関係者や仲間への感謝を述べ「日本にいる家族、愛する妻・真美子、娘、そしてデコイ(デコピン)へ。私の人生を完全なものにしてくれてありがとう。いつもそばにいてくれることに、心から感謝しています」と話し、万雷の拍手を浴びた。

 今年は3月に開催されるWBCに日本代表として出場。すでに右ヒジのリハビリを終え、ドジャースでは開幕からの二刀流、ワールドシリーズ3連覇に挑む1年となる。

 その大谷が快進撃を続けるにつれ、広告業界での価値は右肩上がり。代理店関係者によると、相場は「年間30億円(約2000万ドル)」で「3年以上の複数年」が〝最低ライン〟になりつつあるという。昨年は10億円規模でオファーした日本の大手企業が大谷の起用を断念し、もはや広告に割ける予算の上限を超える状況となっている。

 かつて大谷やMLB関連の広告事業に携わった大手代理店関係者は「確かにもう日本企業が出せる額面ではなくなっていることは事実です」と認めた上で「将来、大谷選手にふさわしい額のオファーを出せる日本企業も必ず出てくるはずです」と指摘した。それは、高市早苗首相(64)も国家戦略の一環として推進する「次世代半導体事業」に関わる企業だ。

 半導体はスマホやパソコン、冷蔵庫や洗濯機などの家電をはじめ自動車などあらゆる電子機器に欠かせない。政府は国際競争力を強化するべく国産化に力を入れ、2030年度までに研究開発補助金などに約6兆円、量産投資などへ4兆円以上を充てる方針だ。

 半導体業界が活況に沸く好例は「ラピダス」だろう。トヨタ自動車やソニーグループなど8社が出資し、政府の全面支援を受ける形で22年に起業。2兆円を超える公的支援を受け、将来的な実用化を見据えて北海道・千歳市内に工場を建設し、世界有数の半導体企業への成長が見込まれると大きな関心を集めている。

 こうした国家的プロジェクトとして〝高市マネー〟が流れ込む半導体業界こそが、大谷と渡り合える唯一の業種になるかもしれないというわけだ。代理店関係者は「大谷選手にオファーを出せるのは、言うまでもなく潤沢な資本を持つ企業。オファーする額はあくまで起用にかかる経費。実際には、それを宣材に広告事業を展開する別のコストもかかるわけですから」と語った。

 日本の半導体事業は1980年代まで世界1位のシェアを誇り、トップに君臨してきた。しかし、その後は国際競争の波にのまれ、現在は最盛期の5分の1にまで縮小している。

 WBCで大会連覇、ドジャースでV3を果たせば、ますます恐ろしいことになりそうだが…。大谷を射止めるためにはもはや国家予算並みの莫大な資金が求められている。