DeNAは24日の巨人戦(横浜)に2―1でサヨナラ勝ちを収め破竹の6連勝。船出後初の「貯金1」を手にした相川亮二監督(49)率いるチームは3位・巨人に0・5差と肉薄。Aクラス浮上まであと一歩のところまでこぎつけた。
指揮官が就任以降、ナインに説き続けた「凡事徹底」の哲学がこの日の戦局を動かした。0―1のビハインドで迎えた8回に先頭・京田が右翼線への二塁打を放つと佐野の一ゴロの間に三進。一死三塁と好機を拡大させる。
巨人ベンチも同点阻止へ定石通り前進守備を敷く。打席にはバットコントロールに定評のある宮崎。懸命に食らいついた当たりは遊撃正面に飛んだが、ベンチの指示通り思い切りよくギャンブルスタートを切った京田は本塁への生還に成功。1本の安打と2本の内野ゴロで1点をもぎとる用兵策がこれ以上ない形で成功した。
勢いに乗れば大型連勝。ただしその直後には必ずと言っていいほど大型連敗の落とし穴にハマり込み急失速――。良くも悪くも粗さのあるチームカラーが特色だった港町の球団だが今度こそ、今度の今度こそは、ひと味違う野球を見せてくれるかもしれない。
相川監督は沖縄・宜野湾で行われた春季キャンプで投内連携や非公開のサインプレーなどのトレーニングを徹底。チームの最大の弱点である〝細部〟に対し徹底的にメスを入れ「当たり前のことを、当たり前にやる」プレースタイルを浸透させる取り組みを続けてきた。
この日のヒーロー・戸柱も試合後の記者応対で「進塁打や内野ゴロで1点を取る今までにない点の取り方ができるようになってきた。相川監督がやりたい野球を、ナインも理解して役割を果たせている」と語る。在籍11年。チームの光も陰も知るベテランの言葉は重い。
意外な人物も新生ベイのプレースタイルに敬意と警戒感をにじませる。
「最後に突っ込んできたDeNAの走塁。相川さんが仕込んでいるんだと思うし、凡事徹底ですよね。そういうギリギリの勝負でした」。言葉の主は阪神・藤川球児監督(45)だ。
22日に行われたDeNA―阪神戦(横浜)。7―6のクロスゲームを決したのも紙一重の走塁だった。6―6と同点の8回二死一、二塁で勝又が一、二塁間をしぶとく割る打球を放つと、二走・蝦名は迷うことなく本塁へ突入。虎の右翼・森下も猛チャージで捕球し、自慢の強肩で本塁タッチアウトを狙ったが、送球がわずかに三塁側にそれたこともあり判定はセーフ。一瞬でも三塁を蹴ることをためらえばアウトになっていたであろうタイミングだった。
藤川監督も指揮官就任直後から「凡事徹底」の重要性を自軍ナインに説き続けてきた一人。相川監督のスタイルに相通じるものを感じ取ったのかもしれない。「あの答えはキャンプの取り組みの中にあったのでしょう」。冷徹な虎指揮官が他球団の戦術について自ら言及することは極めて珍しい。
この日はハマの主砲・牧がプレー中に右足を痛め、途中交代を余儀なくされるアクシデントも発生した。相川監督は「検査の結果が出てからですが厳しいと思います」と一定期間の離脱は避けられないとの見方を率直に示す。
それでも指揮官は落胆の色を一切出そうとはしない。「いるメンバーで当然戦っていく。今度(牧の代わりに)いく人はチャンスだと思う。暴れてくれればいい」。どこか不安が交じっていたような就任当初の表情は今や完全に消え去った。チームを預かり、導いていく覚悟で腹をくくり切った顔だった。












