ヤクルトは18日の巨人戦(神宮)に4―3でサヨナラ勝ちし、首位の座をキープ。2―3の最終9回に丸山の適時二塁打で同点に追いつくと、最後は一死三塁から長岡が中前へ快音を運び接戦に終止符を打った。
イケイケの「攻めダルマ采配」は、冷静な計算と鋭い勝負勘によって裏打ちされていた。勝負所と見極めたイニングで、戦力を〝集中投入〟した池山隆寛監督(60)のタクトがこの日も冴えわたった。
「あそこのイニングが勝負だと思ったので」
指揮官がそう振り返ったのは1―3と2点のビハインドで迎えた7回の攻撃だった。マウンドには右打者の内角に鋭く食い込むシュートを武器とする右腕・田中瑛。増田、赤羽、奥川と右打者が並ぶ打順だったが、ここで池山監督は橋本→田中→宮本と、なんと3者連続で左打者の代打を送り込む大胆な勝負手に出た。
この回で追いつけなければ間違いなく巨人ベンチは8回に大勢、9回にマルティネスと力のあるリリーバーを投入してくる――。そう読んだ池山監督は「負けている状態だったので、早めに追いつきたかった」と試合後に説明した。
その狙いに応え、田中と宮本が連打で続き一死一、二塁。さらに9番・武岡も右前へ快音を運び満塁とすると、サンタナが押し出し四球を選んでスコアは2―3。まずは1点差に詰め寄った。次打者・古賀は一飛に倒れたため、この回に追いつくことはできず。とはいえベンチワークでもぎとったこの1点が、最後に大きな意味を持つことになる。
なおも1点のビハインドを追う展開だったが、池山監督は8回に広沢、9回には清水と力のあるリリーバーを投入。最後の6打者を完璧にシャットアウトし反撃への流れを呼び込んだ。
9回の攻撃の口火を切ったのも、7回に代打として送られ、そのまま三塁の守備位置についていた田中。先頭打者として右翼線への二塁打を放ち劇的な勝利をお膳立てした。ベンチ内に残っていた手駒を出し惜しみすることなく、積極的にグラウンドへ送り出した7回の用兵策が、この日の勝敗を分けるポイントとなった。
試合後、報道陣の前に現れた池山監督は「見てよこれ(笑い)」と歓喜のウォーターシャワーでズブ濡れになった自らのユニホームを見せつけて笑う。神宮の杜の右翼席にはカクテル光線に照らされたビニール傘の花が、誇らしげに揺れていた。
負ければ首位陥落となっていた一戦。少なくともこれは春先の勢いでなどはない。首位のチームが勝つべくして勝った一夜だった。












