巨人は9日の広島戦(マツダスタジアム)が雨天中止となった。同戦で「8番・捕手」で先発出場予定だった山瀬慎之助捕手(24)にとっては出番がお預けになったが、〝とある理由〟でその存在感がグラウンド外でも際立っている。
ベンチでは阿部慎之助監督(47)の隣が〝定位置〟だ。テレビの試合中継では、指揮官の横で言葉を交わす山瀬の姿がたびたび映り込み、ファンの間でひそかに注目を集めている。
中継では、山瀬が指揮官の右隣で真剣な表情で相づちを打つ場面や、両者が笑顔を浮かべて楽し気に言葉を交わす様子がしばしば確認される。阿部監督が試合中に特定の選手と頻繁に会話を重ねる光景は珍しい。いつしか定着した〝お隣さん〟のワケを山瀬本人に直撃すると、原点は阿部監督が二軍を率いていた時代にあった。
山瀬が入団した20年、同年に指導者として歩み始めた阿部二軍監督のもとで徹底的に鍛えられた。阿部監督にとっては、初めて預かる新人捕手が同名だっただけに印象は強かったのかもしれない。二軍春季キャンプでは、今や伝統メニューとなっている「股(また)割り連続ティー」でしごかれ、捕球や打撃でもマンツーマンの指導を受けた。阿部監督が二軍を率いた20、21年の2年間では通算105試合に出場し、その多くでベンチの隣席が〝指定席〟となっていたという。
背景には、若手が監督の隣に座る二軍の慣習もあったが、「よく怒られていたから」と山瀬は笑う。「今のリードは何だ」といった配球に関する指摘、プレーに関する指導が試合中にも飛ぶ中で会話が増え、気が付けば現在の形が出来上がった。山瀬は「自分のプロ野球の軸は、1、2年目に阿部さんから教わったこと」と言い切り、現在も「試合の内容から冗談までいろいろ」と言葉を交わしながら学びを深めているという。
出場機会は少なくとも得るものは大きいはずだ。ベンチの一角にはチームの勝利を追い求めながらも、〝リトル慎之助〟の育成にも力を注ぐ阿部監督の姿があった。












