阪神は7日のヤクルト戦(甲子園)に9―3で快勝し、首位攻防戦の初戦を制した。先発した才木浩人投手(27)はセ・リーグ記録に並ぶ8回までに16奪三振と圧巻投球を見せたが、藤川球児監督(45)は大記録目前でも迷わず交代を選択。そこには指揮官が貫く〝ぶれない信念〟があった。

 才木は初回から150キロ台中盤の直球と鋭く落ちるフォークを武器に、ツバメ打線を圧倒した。2、3回には5者連続空振り三振を奪うなど、エースの貫禄十分。6回にも3者連続三振をマークし、甲子園の空気を完全に支配した。

 8回には2番・サンタナを見逃し三振に仕留め、この日16個目の三振を奪取。1968年の江夏豊氏、94年の桑田真澄氏らが樹立したセ・リーグ記録に肩を並べた。

 しかし、あと1つでリーグ新記録達成となる中、藤川監督は右腕を9回のマウンドへ送らず。才木は8回105球を投げて5安打3失点で降板となった。試合後、指揮官は「それはもう反省ですね。こちらがね、僕が申し訳ない。僕が知らなかったというか、9回投げてもよかったかなというところは、本当に申し訳ない」と謝罪。

 その一方、才木は記録について「何も知らなかったですね」とし「できたら超えたかったなというところはありますけど、すごくいい感じで投げられてたので。継続してやっていきたいですね」と冷静に前を向いた。

 タイトルや記録を追い求め「プロは名前を残すのが仕事」とも語ってきた岡田彰布オーナー付顧問(68)のスタイルとは対照的に、藤川監督が最優先するのは選手の将来とチームの勝利だ。

 普段から「健康でいてくれればいい」と繰り返し、先発投手の球数も100球前後で管理するなど〝令和流マネジメントを〟貫いている。この日の交代についても「また次回以降、100球も越えてましたので、記録よりも未来に向けて良くなる方が重要ですから」と説明した。 

 目の前の大記録よりも、シーズン完走とさらなる成長。火の玉指揮官らしい采配には1年を戦い抜き、確実に白星を積み重ねるための確かな哲学がにじんでいた。