試合を締めくくるのが4番の役目――。そんな重みを、あらためて印象づける一発だった。阪神・佐藤輝明内野手(27)が7日のヤクルト戦(甲子園)で今季1号となる2ラン。そのバットに引きつけられるように、チームも9―2で大勝。藤川球児監督(45)が試合後に「4番がゲームを終わらせてくれる」と評した通り、まさに主砲の仕事だった。

 その直前の8回表だった。阪神はヤクルト・丸山に2ランを浴び、試合の空気がわずかに揺れた。スコアはなお7―2で優位に立っていたとはいえ、流れを断ち切りたい場面。そこで、その裏二死一塁から佐藤輝が大西の初球をとらえ、バックスクリーンへたたき込んだ。ザワつきかけた甲子園を、ひと振りで再び阪神ムードへと引き戻した。

 本人は「またフェン直かなと思った」と振り返ったが、力任せではない打撃がかえって際立った。完璧に振り切った感触ではなくても、中堅120メートル超のフェンスを越えていく。そこに今の佐藤輝の怖さがある。強振だけに頼るのではなく、芯で捉える確率と打球の質で仕留める。数字以上に、内容の良さが光った一発だった。

 開幕から10試合目で飛び出した今季初本塁打。4番として見れば、待望の一発だったことは間違いない。ただ、ここまでの打席内容が極端に悪かったわけではない。佐藤輝も「ヒットが出ているのはいいこと」と口にしていたように、悲観はなかった。それでも昨季の二冠王であり、今年も打線の中心を担う立場である以上、最後は結果が物を言う。その意味でも、甲子園で放った今季1号が持つ意味は大きい。

 藤川監督が「一番いいところでのホームラン」と言い切ったのも象徴的だ。指揮官が4番に求めるのは、打つべき場面で試合を決めること。その期待に、この夜の佐藤輝はきっちり応えてみせた。

 今後はさらに相手のマークも厳しくなる。それでも、最も欲しい場面で答えを出すのが主砲の宿命だ。連覇を狙う阪神にとって、打線の核が本来の存在感を取り戻すかどうかは大きな鍵を握る。佐藤輝がようやく、その〝らしさ〟を甲子園で示した。