ドジャースの強さは、主役が抜けても設計図が崩れないところにある。5日(日本時間6日)の敵地ナショナルズ戦は4回までに1―6と劣勢に立たされながら、終わってみれば8―6で逆転勝ち。3回に特大の2号ソロをバックスクリーンへたたき込んだ大谷翔平投手(31)が8回にも決勝犠飛を放ち、今季2度目の同一カード3連勝を決めた。そんな総力戦の直前に判明していたのが、ムーキー・ベッツ内野手(33)の負傷離脱だった。

 米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が検証材料として注目したのも、単なる逆転劇ではない。ベッツの穴を埋めるため、ドジャースはキム・ヘソン内野手(27)とミゲル・ロハス内野手(37)を遊撃で併用しつつ、アレックス・フリーランド内野手(24)に二塁で実戦機会を与える構想を打ち出した。スター不在をしのぐ応急処置ではなく、先を見据えた〝再配置〟というわけだ。

 投手運用にも同じ思想がにじむ。佐々木朗希投手(24)は同5日(同6日)のナショナルズ戦で日米通じて自己ワーストとなる5回6失点と苦しんだが、球団は慌てない。ジャスティン・ロブレスキ投手(25)を「スポット先発」や「ピギーバック(複数投手で試合を分担する継投前提の起用)」で使い、先発陣に余分な休養日を与える〝ハイブリッド6人ローテ〟を敷く方針。大谷も6~7日空けて起用する見通しで、4月の段階から消耗戦となる流れを見越している。

負傷離脱となった内野手ベッツ
負傷離脱となった内野手ベッツ

 さらに下位層の底上げも効いている。控えのダルトン・ラッシング捕手(25)は限られた出場機会の中で同5日(同6日)に2ランを放ち、逆転の流れを呼び込んだ。ベッツが消えても大谷が決め、若手がつなぎ、投手陣は役割を細分化して回す。王者の不気味さは「スター軍団」であることではない。誰が欠けても次の駒がすぐに機能するという、その総力戦の完成度にある。しかも、その入れ替えが一時しのぎで終わらず、夏場以降の長丁場を見据えた布石として機能している点がなおさら厄介だ。

 ドジャースの本当の強みは戦力の豪華さではなく、欠員すら戦略に変えてしまう組織力そのものにある。