名門の空気が、早くもきしみ始めた。レッドソックスは4月5日(日本時間6日)、本拠地フェンウェイ・パークでのパドレス戦に6―8で敗れ、開幕9試合で2勝7敗。ア・リーグ東地区最下位に沈む中、この日「1番・DH」で先発したローマン・アンソニー外野手(21)が試合後に「これは容認できない。ファンに対しても、自分たちが掲げる基準に対しても受け入れられない」と言い切った。米メディア「ヤードバーカー」が伝えたもので、若き主砲候補がチーム全体に異例の苦言を呈した格好だ。

 もっとも、この日は打線が完全に沈黙したわけではない。吉田正尚外野手(32)は「6番・左翼」で先発し、4打数3安打、2二塁打、3打点と気を吐いた。3回には適時二塁打、7回には同点の2点二塁打を放ち、反撃の中心に立った。それでも終盤に投手陣が踏ん張れず、序盤の4点リードも守り切れなかった。吉田の奮闘が、そのままチームのもろさを浮き彫りにした一戦だった。

 吉田自身も今季はまだ13打数3安打、0本塁打、3打点、打率2割3分1厘、OPS.859と出場機会は多くない。開幕前からアレックス・コーラ監督(50)の構想ではDHと左翼を行き来する立場とみられ、外野の定位置争いの渦中に置かれてきた。その中で限られた出番に結果を残した意味は小さくない。

 だが、21歳のアンソニーが危機感を代弁し、32歳の吉田がバットで支えても、なお勝てない。期待値の高かった今季のボストンで、いま最も重いのは敗戦そのものより「誰が引っ張っても流れが変わらない」という閉塞感かもしれない。