WBCの準々決勝・ベネズエラ戦(ローンデポ・パーク)がいよいよ14日(日本時間15日)と目前に迫った侍ジャパン。1次ラウンドC組をともに突破した韓国は一足早く13日(同14日)に同・ドミニカ共和国戦(同)を迎えるなど、WBCも佳境へと突入している。そんな宿命のライバル関係にある日本と韓国だが、今大会では両国間の関係性にも大きな変化の兆しが見られた。その大きな要因は、何を隠そう、“平和大使”大谷翔平(31=ドジャース)の存在だった――。
今大会も球史に残る激闘を繰り広げた日本と韓国。7日に行われた1次ラウンドC組の日本―韓国戦(東京ドーム)では両チームともに一進一退の攻防を続け、最終スコアは8―6で日本が勝利した。これで韓国は2015年のプレミア12を最後に対日本戦では引き分けを挟んで11連敗と悔しい結果に終わった。韓国球界関係者も「韓国と日本はもうライバル関係ではなくなってしまった」と自虐気味に評したが、両球界の相互関係には確かな明るい兆しが見え始めていた。
日本球界と韓国球界といえば、これまでは決して穏やかな関係性とは言えなかった。06年のWBC第1回大会で当時現役だったイチロー氏が韓国に対し「向こう30年間、日本に手は出せないな、と思わせるような勝ち方をしたい」とハッパをかけると、韓国メディアはこれを大々的に報道。発奮した韓国代表は日本戦での勝利後にマウンドに太極旗を立てるパフォーマンスを披露すると、日本側も猛反発した。09年の第2回大会でも立てられた。以降は両チーム間で特別な緊張感が生まれていた。
前回大会では開幕前の2月に高佑錫投手(コ・ウソク=27)が大谷に“故意死球”発言して物議を醸した。
あれから20年の月日が流れ、開催された今大会。グラウンド上で相まみえた両国間の雰囲気は20年前のそれとは大きく異なっていた。7日の日韓戦で金慧成内野手(キム・ヘソン=27)が同点2ランを放った際には、対戦相手ながらドジャースの先輩・大谷がベンチから拍手で祝福。緊迫した試合展開の中でも賛辞を惜しまない様子が韓国メディアにも大きく取り上げられ話題となった。
また、その金慧成が8日の台湾戦で執念の盗塁を見せた際や、敗戦後にベンチで涙を流す姿を見た際には日本のファンも反応。SNS上では「ヘソン頑張れ」「ヘソン君泣かないで」などの声も多く見られた。
日韓関係に明らかな変化が生まれた要因について、韓国球界関係者はこのように推測した。
「大谷選手の存在そのものが、韓国のファンの日本に対する過去の反感を和らげたように思います。彼は人柄も最高ですが、韓国に対しても好意的でいてくれるためにそう感じさせるのだと思いますね。大谷が示した人柄と圧倒的な実力、そして韓国への向けてくれた敬意、これらすべてが決定的な理由になっているのではないでしょうか」
過去20年間にわたってほどけることがなかった両国球界の緊張関係を、たった一人で緩和させることに成功した「大谷平和大使」。前出関係者も「互いを尊重しつつ『絶対に負けたくない』と思い合う関係性は素晴らしいものだと思います。ただ、ライバルと呼ぶには韓国の最近の戦績があまりに劣っているので、今回のベスト8進出をきっかけにさらに奮起してもらい、再びいい関係性を築けていけたらと願っています」と、日韓球界の新たな“未来予想図”を切望していた。











