満員に膨れ上がる東京ドームに日の丸を背負う背番号18が、いよいよ姿を現す。6日に行われる台湾とのWBC初戦で侍ジャパンの「開幕投手」としてマウンドに立つ山本由伸投手(27=ドジャース)へ注がれる熱視線は、世界一に輝いた2023年大会当時とはもはや別次元のものだ。今やその存在感は、大谷翔平(31=ドジャース)と並び立つ「世界の主役」へと進化を遂げている。

 その流れを象徴するのは、7日に日本と対戦する韓国側の〝空気感〟だ。来日中の韓国テレビ局の関係者は「23年当時、韓国メディアにおける山本の扱いは大谷やダルビッシュ有(パドレス)の陰に隠れた『日本の好投手』の一人にすぎなかった」と振り返る。

 山本の評価を劇的に変えたのは、昨年のワールドシリーズで見せた「神業」だった。第6戦、そして第7戦。中0日での連投という、近代野球の常識を覆す魂の熱投が文字通り世界を驚嘆させた。「以前は記事配信の割合が〝大谷9〟に対し〝山本1〟だったが、今は〝大谷6〟、〝山本4〟。それほどまでに山本が食い込んでいる」と前出の関係者は指摘する。

 小柄な体格を圧倒的な練度と努力でカバーし、伝説を塗り替えていく姿は世界中のファンに「大谷だけでなく、山本こそが歴史に残るレジェンドだ」と知らしめた。

 その熱狂は同関係者の言葉通り、韓国国内でも顕著だ。実際にネット上で山本の名を検索すれば、試合速報のみならずチームメートの金慧成(キム・ヘソン)内野手(27=ドジャース)との交流や山本の素顔に迫る特集記事であふれ返る。

 2日のオリックスとの強化試合(京セラドーム大阪)で山本が見せた、子供へのさりげない「神対応」も即座に海を越えて報じられた。今や韓国の若手投手が「韓国の山本」と形容されるなど、その名は「右腕の最高峰」を指す代名詞へと昇華している。

 韓国も含め海外メディアが描く現在の侍ジャパンは「投の山本」、「打の大谷」を配した最強の〝風神雷神〟状態だ。盤石の二枚看板は、台湾との初戦でいかなる衝撃を世界に刻むのか。そして2人に続く「第3の神」は現れるのか――。伝説の幕が、今上がる。