WBC1次ラウンドC組が5日に東京ドームで開幕し、台湾はオーストラリアとの初戦に0―3で敗れた。結果は手痛い黒星となったが、三塁側スタンドを中心に台湾のファンが大挙して詰めかけ、序盤から球場の空気は独特の熱に包まれた。その熱量を象徴したのが、台湾の「応援文化」を背負って来日したチアリーダーたちだ。

 台湾代表の選抜チアチーム「CT AMAZE」は、三塁側に設置された特設スタンドで試合を通してパフォーマンスを披露。攻撃時も守備時も途切れないコールと振り付けで、台湾ファンの声量を束ねる〝もう一つの主役〟になっていた。

 台湾野球の大きな特徴として知られるチア文化。日本でも各球団がチアリーダーを擁するが、同じ「チア」でも中身はかなり違うという。直近では台湾で交流試合を行う球団も増え、日本の球界関係者の間からは「日台の違いを肌で感じた」との声が上がっている。

 1つ目の相違点は応援の「焦点」だ。台湾のチアは専門の事務所に所属するなど、アイドル・タレントとしての側面を強く持つ。「台湾は野球そのもの以上にチアを見に来る人もいる」と言われるほどで、応援そのものが〝コンテンツ〟として成立している。試合中もチア個々にスポットが当たり、観客の視線と熱がスタンドの一点に集まる時間が生まれやすい。

 対して日本のチアは、あくまでプレーを引き立てる役割が中心だ。ある球団関係者が代弁するように「野球の盛り上がりを越えるのではなく、どう後押しできるか」。縁の下の力持ちとして〝場を整える〟色合いが濃いという。

 2つ目はスタイルとパフォーマンスの設計である。前出の関係者は台湾のチアについて「骨格から違う。背が高く、手足が長くて細い」と表現した。背景にあるのは〝見せ方〟の違いだという。日本はダンスの精度を高めるため反復練習を重ね、体づくりも含めて「踊れる体」に寄せていく。

 一方、台湾は観客に〝見せる〟ことを前提にした表現が軸で、見栄えの設計が前に出る。その上で「細かい動きやそろい方は日本の方が上」と、ダンスそのものの緻密さを評価する声もあった。

 国が違えば、応援の文化も違う。WBCの東京ドームは、勝敗だけでは測れない「野球の周辺」も映し出す舞台になっている。WBCはまだ始まったばかり。スタンドの熱が、これからどんな景色を連れてくるのか。