野球の国際大会「WBC」で連覇を目指す日本代表がいよいよ完全体に近づいてきた。大谷翔平投手(31=ドジャース)らMLBの3選手が26日から侍ジャパンに合流予定。フルメンバーまであと3人となる中、気になるのはムードメーカーの存在だ。世界一を奪回した2023年大会ではペッパーミルのパフォーマンスが社会現象にまでなったが、〝第2のヌートバー〟は――。
大谷を筆頭に鈴木(カブス)、吉田(レッドソックス)の3選手は24日までに帰国。早ければ26日にバンテリンドームで行われる全体練習から合流する見通しで、岡本(ブルージェイズ)と村上(ホワイトソックス)、山本(ドジャース)の3人を待つばかりとなる。
侍ジャパンの初戦は3月6日の台湾戦(東京ドーム)。今大会は史上最多の9人のメジャーリーガーが参戦する最強布陣となっているが、代表チームは急造チームの側面もある。個々が実力を発揮するだけでなく、結束を強める〝無形の力〟も追い風を吹かせる。前回大会で外野守備コーチを務めた日本ハムの清水雅治ファーム総合コーチ(61)はこう証言する。
「よく『チームが一つになる』という話を聞くけど、戦いながらでしかできないことでもあるし、実際そんな簡単になれるもんでもない。だけど、あの時は本当に目には見えない力を感じた」
それが「たっちゃん」の愛称で親しまれたラーズ・ヌートバー外野手(28=カージナルス)から始まったペッパーミルのムーブメントだ。出塁した際に両手でコショウをひくポーズはナインだけでなくお茶の間にも広まり、年末の流行語大賞でもトップ10入りを果たした。
結果的にヌートバーは全7試合に「1番・中堅」で先発出場し、4割を超える出塁率で切り込み隊長の役割を果たした。ただ、NPBでプレーした経験がなかっただけに本戦に入るまで真の実力は未知数。しかし、1次ラウンド初戦の中国戦でヌートバーが第1打席の初球を中前に運び、一塁ベースでペッパーミルポーズを披露した瞬間にすべてが変わった。
清水コーチも「今だから言えることでもあるけど、俺も含めてみんなが手探りで実際はどうなの?って思っていた」と半信半疑だったという。ところが「ヌートバーがセンター前に打ってすぐペッパーミルをやって。我々も彼からのメッセージとして受け取るものがすごくあったというか…。雰囲気が変わる。チームがさらに一つになれた瞬間だった。本人、使った栗山さん、チーム、見ている日本のファンの皆さん、大げさに言えば日本全体がうれしくなるようなヒットだった」と振り返る。
だからこそ、世界一奪還に成功した23年大会のキーマンの一人に、清水コーチは「前回は野手では『たっちゃん』だと思う」と断言する。攻守についても「一つひとつのプレーに本当に魂がこもっていた。何一つ抜いたところを見たことがなかった。ファーストまでの全力疾走、外野守備のカバーリング。メジャーリーガーって、こんなにすごいのかって改めて思った」と目を見張った。
今大会も鍵を握るのはやはり野球の本場でプレーするMLB戦士か。誰がどんなムーブメントを起こすのか、目が離せなくなりそうだ。














