日本ハム・新庄剛志監督(54)が集大成のシーズンに臨む。最下位だったチームを昨季まで2年連続のリーグ2位まで引き上げたが、最後は王者・ソフトバンクの前に涙をのんだ。指揮官就任5年目の今季はどうか。本紙専属評論家の伊原春樹氏は気がかりだった昨季の「天王山」での采配、もはや恒例となってきた〝あの質問〟をぶつけた。

【新鬼の手帳・伊原春樹】昨年は9月に首位と2ゲーム差まで迫るなど本当に惜しいシーズンだった。やるべきことが明白な新庄監督は沖縄・名護のキャンプ地で精力的に指導をしていた。

 昨年は私から「よくクビにならなかったな」とジャブを放ったが、今年は先手を打たれた。77歳になったことを伝えると「77ですか。ボケはないですか」とニヤリ。「(日本ハムの)サードコーチャーとしてどうですか?」と笑った指揮官の目には充実感があふれていた。

 新庄監督にどうしても聞きたかった采配が1つあった。3・5ゲーム差で迎えたソフトバンク戦(9月18日、みずほペイペイ)で、1点リードの8回裏にマウンドに左脇腹の故障から明けた古林(グーリン)を送り出した。

 初の救援登板だった古林は一死から栗原に同点ソロを許し、満塁のピンチを招いて降板。代わった田中が押し出し四球を与え、2―3で逆転負けを喫した。その8日後にソフトバンクの2年連続優勝が決まった。

WBC台湾代表にも選ばれている日本ハム・古林睿煬
WBC台湾代表にも選ばれている日本ハム・古林睿煬

 3月のWBCにも出場する古林の起用について新庄監督は「いろいろ事情があったんですよ」と内情を教えてくれた。連戦の疲れから救援陣の状態が悪く、古林に託すしかなかったという。それだけではなく「ああいう場面で投げさせるのが投手の成長につながる」と大きく育てるための決断だったと強調していた。

 大一番で将来への布石が打てたのも、今の戦力に手応えを感じているからだろう。打線は郡司が成長しレイエス、清宮幸、万波、水谷と駒がそろっている。昨年、開幕から4番に起用した野村は打率2割6分8厘、8本塁打。「野村が7番にいたら相手は嫌でしょ」と今季は下位でのびのびと打たせる方針だそうだ。

 先発投手陣も沢村賞の伊藤を筆頭に北山、加藤貴、達と充実しているところに、有原がソフトバンクから加入。直接のライバルからの〝強奪〟は最高の補強だろう。昨季の借りを返す準備は整ったとみる。

 最後に、毎年恒例の将来的な阪神監督の可能性を聞くと、「阪神はまあ、球児(監督)が長くやるでしょ」と軽くかわされた。「球児も大したもんですね。ぶれないというか」と強いリスペクトを感じさせた。

 いずれにしても新庄監督が、まさに集大成となる今季を笑って終えられるのか。今から秋が楽しみになってきた。(本紙専属評論家)