得点力アップを目指す広島が宮崎・日南キャンプで小技への意識向上に乗り出している。

 限られたスペースをいかに活用するかは、首脳陣の腕の見せどころの一つ。フリー打撃中にできるバント練習エリアに工夫を凝らしたのは、二軍から一軍打撃チーフに配置転換となった福地寿樹コーチ(51)だ。通常はマシンの球を転がすだけだが、転がしたボールを止める目標エリアも設けた。

 設定された場所は一、三塁線を見立てた両側のラインから、2本の線で円形に結ばれたフェアゾーンのスペースだ。福地コーチは「日によって若干異なるけど、あの線の中は60センチぐらいしかない」。バットに当てて転がすことに目的意識を持たせる意図もあるが、理由はそれだけではない。

「あそこ(2本の円形ライン)の中ぐらいの場所が、野手も投手も最も捕りづらい。(打者は)打球が弱いと捕手が捕るだろうし。あのへんの打球って守備側からすると結構難しいはずだから」

 昨季のチームはリーグ5位の88犠打で441得点(同4位)だった。一方、圧倒的な強さでペナントを制した阪神(496得点=同3位)は136犠打でトップだった。長いシーズンでは攻撃陣にも好不調の波は必ず訪れる。犠打数の差(48犠打)と得点数の差(55得点)もほぼ同数だけに、バントの重要性はより際立ってくる。

 犠打の成功率と数も上がれば、おのずと得点力アップも見込める。そのため「結果」にこだわる今季のチーム方針と同様、福地コーチは構えなど個々のアプローチを問うつもりはない。

「人によって形は違っていい。最初から構えてやるのが最も簡単かもしれないけど、そうじゃないケースもある。打つ構えからバントみたいに。形はどうでもいい。どんな形でもいいから転がして、そのゾーンにボールを止めるのが大事。最強のバントってシフトを敷かれても決まるもの」

 赤ヘル軍団は地道な反復練習を続け、虎の背中を追いかける。