自主規制の意図は――。ソフトバンクの小久保裕紀監督(54)が4日、宮崎春季キャンプ第1クールを総括した。独自調整を課しているS組が不在の宮崎で、現有戦力の底上げがテーマとなっているホークス。自走できる持続可能な組織に向けた試みが進んでいる。

 この春も随所に「小久保の組織論」を反映した光景が広がっている。

「おーい!」。キャンプ2日目、指揮官の大きな声がグラウンドに響いた。視線の先には、中堅フェンス際で飛球を捕り損ねたイヒネ・イツア内野手(21)。2022年ドラフト1位の大型内野手は今キャンプから本格的に外野に挑戦している。「これは一軍監督としての組織論。イヒネを一軍で使うとなった時にショート、サードで使う可能性はほぼゼロ」と言い切った上で「明確に、可能性のある役職を与える」と意図を説明した。身体能力抜群の21歳。脚力を生かした代走、外野の守備固めとして台頭すれば、一軍の層は厚みを増す。

 また、かねて小久保監督は複数リーダー制を推奨してきた。「リーダーを一人に絞るよりは、複数制にして役割を与えた方がいい」。この春、選手会長任せだった役割を分業制にしていく方針も打ち出した。

 役割を与えた上で、固定観念に引っ張られない忌憚(きたん)なき意見も求めている。今季から一軍コーチ陣を刷新。「全く新しいチームづくりがテーマ」(小久保監督)だからこそ、指揮官はこんな考えも明かした。「長谷川(打撃コーチ兼スキルコーチ)とは打順の話は一切しないでおこうと思っている。チョロっとしゃべってしまうと、彼が『監督がそう思っているんだな』っていうのが出る打順になってしまう。だから、もうその話を全くせずに入ろうと思う」

 たくさんの目と耳で情報を集め、視点を変えて発想を強化し、組織力を上げる。勝てる選択肢を増やし、持てる駒を最大限生かすため、参謀たちとの会話にも細心の注意を払う。