フィリーズが元オールスター選手の処遇に頭を抱え込んでいるようだ。インド系米メディア「スポーツキーダ」が報じたところによれば、フィリーズがニック・カステラノス外野手(33)を今オフもロースターに残している背景には、単なる情や温情では済まされない現実的な理由があるという。

 2021年、23年と過去2度の球宴出場歴を誇るカステラノスは今季で5年契約の最終年を迎えることになっており、球団も放出方針を公然と認めてきた。フィリーズのデイブ・ドンブロウスキー球団社長(69)は先週の時点で「引き続きその予定だ」と語り、カステラノスのトレードを前提とした構想を否定しなかった。それでも33歳のベテランが現時点で残留しているのは、トレード成立の可能性を完全には見切っていないからだと、ポッドキャスト番組「The Phillies Show」に出演した全米野球記者協会(BBWAA)所属のジム・ソールズベリー氏は指摘する。

 背景には契約問題がある。26年に2000万ドル(約30億6000万円)の巨額年俸が残るカステラノスを解雇すれば、その全額が〝捨て金〟となる。フィリーズとしては、多少でも年俸負担を軽減できる取引先が現れる可能性に賭けている格好だ。

 もっとも、現場との関係は決して平穏ではなかった。昨季途中、カステラノスは出場機会の少なさを巡って指揮官のロブ・トムソン監督(62)と激しく衝突。一時はベンチ内の空気が凍りついたとも伝えられた。ただ、トムソン監督は後に「彼は毎日、毎イニング出たい男だ。それは責められない」と語り、両者は和解に至ったとされる。

 成績面でもカステラノスは25年に打率2割5分、出塁率2割9分4厘、17本塁打とビッグディールの割には物足りなさが残った。一方で昨年12月、キューバ出身で打点王、最多安打のタイトルにも輝いたアドリス・ガルシア外野手(32)を獲得したことで外野の序列は一変。立場は苦しくなった。

 それでもフィリーズが即断を避けているのは、衝突を経てもなお残るカステラノスの〝商品価値〟を見極めるためだ。感情と現実の間で揺れる判断が、今なおフィラデルフィアのクラブハウスに微妙な緊張感を漂わせている。