ドジャースは21日(日本時間22日)に本拠地ドジャースタジアムで会見を行い、4年総額2億4000万ドル(約380億円)の破格契約を締結したカイル・タッカー外野手(29)の獲得を正式に発表した。

 ワールドシリーズ連覇中の王者への加入は大きな話題を呼んだ一方で、「またドジャースか」という反発とともに、リーグ全体ではサラリーキャップ導入論を再燃させる引き金にもなっている。

 批判のほこ先は、ドジャースだけでなくタッカー本人にも向けられているのが現状だ。「最も高額なオファーを出した球団を選んだだけ」「野球への情熱が感じられない」――。そうした否定的な見方が、FA市場を巡る不満と絡み合う形で広がっている。とりわけ、近年のドジャースによる大型補強が「金満球団」というイメージを強めているだけに、タッカーは格好の標的となった。

 しかしながら米誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」によれば、タッカー本人は「否定的な評価に動じる様子を見せていない」と報じている。

 この日の会見でタッカーは、自身やドジャースへの批判的な声に対し「正直、なぜそう思われているのか分からない。フィールドで何をしようとしているのか、クラブハウスに何をもたらすのかは自分が分かっている」と淡々とコメント。打撃不振の時期であっても、進塁打や四球、守備でのワンプレーなど〝スコアカードに残らない仕事〟を積み重ねることが、シーズンを通した勝利につながる――。それがタッカー自身の野球観だという。「とにかく雑音は遮断する。プレーオフのあの興奮に勝るものはない。ここで、それを続けられるのが本当に楽しみだ」とも言い切った。 

 言葉は決してじょう舌ではないが、その裏には勝利への明確な執着がにじむ。個人記録よりも、チームとして勝つために何が必要か。その視点は一貫している。

 会見に同席したデーブ・ロバーツ監督(53)も、ひそかにタッカーの元指揮官やコーチ陣から操縦法や本人の性格を〝入手〟したと打ち明け「日々の試合に勝つことだけを見据えるミクロな考え方が、我々の哲学と完全に一致している」と高く評価した。スター軍団の中にあっても、自分の役割を理解し、黙々と遂行できる選手――。それがタッカーに寄せられる期待だ。

 巨額契約と王者ドジャース。その組み合わせが注目と反発を同時に集めるのは避けられない。だが最終的に評価を決めるのは、ビッグディールの金額でも評判でもない。レギュラーシーズン、ポストシーズンの緊張感の中で、タッカーがどのような仕事を積み重ねるのか。真価が問われる舞台はすでに整っている。